医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Which clinician responses to emotion are associated with more positive patient experiences of communication? (Patient Educ Couns 2024)

Kuchinad K, Park JR, Han D, Saha S, Moore R, Beach MC. Which clinician responses to emotion are associated with more positive patient experiences of communication? Patient Educ Couns. 2024;124:108241.

背景:臨床家と患者の相互作用を改善しうるコミュニケーション戦略を特定するために、臨床家の感情への反応と患者のコミュニケーション評価との関連を評価した。

方法:1817の臨床家と患者との出会いのコホートから、対人ケアを低質と評価した患者69人と高質と評価した患者69人を特定し、後方視的症例対照研究を計画した。Verona Coding Definitions of Emotional Sequences(VR-CoDES)を用いて、患者の感情表現と臨床医の反応を同定した。混合効果ロジスティック回帰を用いて、患者の感情に対する臨床医の反応と、対人ケアに対する患者の評価との関連を評価した。

結果:調整後分析では、さらなる感情的コミュニケーションのためのスペースを減らす明示的な応答は、ケアの高評価と関連していた(OR 1.94, 95%CI 1.25, 2.99);さらなるスペースを提供する非明示的な応答は、低評価と関連していた(OR 0.54, 95%CI 0.36-0.82)。具体的な回答タイプでは、中立的/消極的な回答は低評価と関連していた(OR 0.59, 95%CI 0.39-0.90)が、情報/助言を与えることは高評価と関連していた(OR, 1.91 95%CI 1.17-3.1)。

結論:患者は、共感の表出の有無にかかわらず、臨床医の関与を示すような、表出した感情に対する反応を好む可能性がある。これらの知見は、臨床家と患者のコミュニケーションを改善するための教育的介入に役立つであろう。