医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Mechanisms of Near-Peer Learning in a Longitudinal Clerkship: A Grounded Theory Study (Acad Med 2024)

Smith LE, McBride ME, Henschen B, Bierman J, Uchida T, Eppich W. Mechanisms of Near-Peer Learning in a Longitudinal Clerkship: A Grounded Theory Study. Acad Med. 2024 Mar 25. Epub ahead of print.

背景:多くのメディカルスクールでは縦断的なクラークシップを組み込んでおり、前臨床カリキュラムの継続性を促進し、早期に臨床経験を積むことができる。しかし、縦断的な臨床経験におけるニア・ピア学習のメカニズムや、それが臨床能力の発達にどのように寄与しているかは、あまり明らかではない。著者らは、縦断的なクラークシップのなかで、医学生間のpeer-to-peerの相互作用が、新進臨床医から臨床ケアと臨床指導の二重の役割をこなせるより熟練した実践医への発達の軌跡にどのような影響を与えたかを調査した。

方法:ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部のEducation-Centered Medical Home(ECMH)は、縦断的クラークシップであり、ピアラーニングを研究するうえで理想的な環境である。ECMHでは、各学年の学生、プリセプター、外来患者からなる小グループの間で、医学部の4年間を通じて継続性が確立されている。著者らは、2021年3月から2023年2月にかけて、全学年の医学生を対象に6回のフォーカスグループと9回の個人面接を行った。構成主義的グラウンデッド・セオリーを用いて、テーマを特定し、その関連性を探るために、定比較を用いて反復的にデータを収集・分析した。

結果:ECMH内では、仲間同士の関係がインフォーマルな学習文化を育み、確立された文化を強化しながら、有意義な仲間同士の交流を可能にしていた。著者らは、上級生と下級生との間で不可欠な3つの学習習慣を特定した:患者との遭遇の準備、共同遭遇中のダイナミックな役割転換、遭遇後の報告。これらの実践は、学習関係を強化し、学生の成長軌道をサポートした。

結論:縦断的なピアラーニング関係は、医学生の臨床的発達と臨床指導能力に影響を与える有意義なピアインタラクションを可能にした。相互の信頼関係、親近感、継続性は、的を絞ったフィードバックの実践と、後輩の能力の限界における成長を促進する。このようなピアラーニング環境を最適化し、臨床環境で縦断的ピアラーニングを利用する新たな機会を模索することは、医学生心理的安全性とプロフェッショナル・アイデンティティ形成を促進する可能性がある。