医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Relationships between medical students' co-regulatory network characteristics and self-regulated learning: a social network study (Perspect Med Educ 2021)

Bransen D, Govaerts MJB, Sluijsmans DMA, Donkers J, Van den Bossche PGC, Driessen EW. Relationships between medical students' co-regulatory network characteristics and self-regulated learning: a social network study. Perspect Med Educ. 2021 Apr 30. Epub ahead of print.

背景:最近の自己調整学習 (self-regulated learning)の概念では、自己調整をサポートするためのネットワーク内の他者との相互作用、すなわち共調整 (co-regulation)の重要性が認識されている。本研究の目的は、ソーシャル・ネットワーク・アプローチ (social network approach)を用いて、医学生の共調整ネットワークの特徴、知覚された学習機会、および自己調整学習との関係を探索することである。

方法:著者らは、クリニカルクラークシップ中の医学生403名を対象に調査を行った (回答率65.5%)。重回帰分析、構造方程式モデリング法、分散分析を用いて、共調整ネットワークの特性 (ネットワークサイズ、ネットワークの多様性、相互作用の頻度)と、学生の職場環境における学習機会の認知、および自己報告による自己調整学習との関係を検討した。

結果:全てのクラークシップにおいて、絆の強さと自己調整学習との間に正の関係 (β = 0.095, p < 0.05)、ネットワークサイズと絆の強さとの間に正の関係 (β = 0.530, p < 0.001)、ネットワークの多様性と絆の強さとの間に負の関係 (β = -0.474, p < 0.001)が示された。学生の学習機会に関する認識は、自己調整学習 (β = 0.295, p < 0.001)および共調整ネットワークサイズ (β = 0.134, p < 0.01)と正の関係を示した。クラークシップのコンテクストの特徴は、共調整ネットワークの特徴 (サイズと結びつきの強さ)と、ネットワークの特徴、自己調整学習、および学生の学習機会の認識の関係に影響を与えていた。

結論:本研究では、臨床実習中の医学生の自己調整学習における共調整ネットワークの重要性が明らかになった。本研究の結果は、頻繁な共調整のための強力なネットワークの構築を支援することが、困難な臨床学習環境における医学生の自己調整学習を高める可能性を示唆している。ソーシャル・ネットワーク・アプローチは、臨床現場における自己調整学習および共調整学習をさらに理解し、概念化するための有望な方法である。

個人的所感:さすがマーストリヒト大学発…という研究です。この研究、大変興味深いですね。自己調整学習と共調整学習について、量的アプローチでここまで切りこめるのかぁ…と感激しました。