医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Development and questionnaire-based evaluation of virtual dental clinic: a serious game for training dental students (Med Educ Online 2021)

Wu JH, Du JK, Lee CY. Development and questionnaire-based evaluation of virtual dental clinic: a serious game for training dental students. Med Educ Online. 2021;26:1983927.

背景:歯学教育におけるシリアスゲーム (serious gaming/serious game)に関する文献は増えているが、前臨床と臨床のギャップを埋めるためのシリアスゲームを開発した先行研究はこれまでない。バーチャル・デンタル・クリニック (VDC)は、歯科学生の臨床推論能力の向上を目的として開発されたシリアスゲームである。本研究では,教育ツールとしてのVDCを評価し、クラークシップの歯科学生の臨床技能や知識の獲得に対する効果を検討することを目的とした。

方法:2016年から2020年にかけて、VDCの設計とテストのうち、開発、検証、応用の3段階に取り組んだ。VDCゲームエンジンであるUnityを用いて開発した。検証段階では、内容的妥当性を5名の客員スタッフが検討し、構成的妥当性と表面的妥当性を9名の卒後歯科医師と14名のクラークシップ歯科学生が検討した。また、2018年9月から2019年5月までのクラークシップ期間中の5年生歯科学生34名を対象に、併存的妥当性と予測的妥当性を検討し、VDCの経験とクラークシップの成績、国家資格試験のスコアとの関連性を探った。応用段階では、2019年8月からファミリー歯科部門に自己学習ツールとしてVDCを設置し、クラークシップ学生92名のフィードバックを用いて定量的・定性的分析を行った。

結果:VDCは、良好な妥当性を示し、実務における教育の可能性が高いことがわかった。VDCを利用した学生は資格試験で有意に高得点を得ており(p=0.029)、VDCの経験は歯周病学(p=0.037)および歯内療法学(p=0.040)のパフォーマンススコアの上昇を有意に予測した。COVID-19パンデミックの発生後、臨床推論を学ぶためのアシスタントツールとしてのVDCの価値を確認した学生の割合は有意に高かった(p = 0.019)。

結論:本研究では、教育ツールとしてのVDCの有効性と、クラークシップ歯科学生の臨床推論スキルおよび知識獲得に対する効果が検証され、確認された。