医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Understanding Academic Self-Concept and Performance in Medical Education (Acad Med 2023)

Harrell KM, Rawls M, Stringer JK 4th, Edwards CD, Santen SA, Biskobing D. Understanding Academic Self-Concept and Performance in Medical Education. Acad Med. 2023 Apr 4. Epub ahead of print.

背景:医学生の学問的自己概念(academic self-concept; ASC)は、メディカルスクールにおける成績の非認知的媒介因子をより良く理解するうえで重要な因子である。しかし、医学生のASCに関する研究は、卒前医学教育カリキュラムの複数のフェーズに渡って限られている。本研究は、米国のメディカルスクールカリキュラムの異なる段階、特に2年目(前臨床期)と3年目(臨床期)の終了時に、ASCと学業成績の関係を調査するパイロットスタディである。

方法:バージニアコモンウェルス大学医学部(バージニア州リッチモンド)の2つのコホートにわたる医学生を対象に、2019年にASCの信頼度サブスケールを用いて調査を実施した。前臨床期(n = 190)および臨床期(n = 149)の医学生のASCスコアとパフォーマンスデータを用いて、多重線形回帰分析を行った。臨床成績は、各クラークシップの週数に基づくクラークシップ成績の加重平均により算出した。

結果:前臨床の成績は、ASC、性別、1年目以降の成績と関連していた。ASCスコアは、前臨床コホートの性別によって有意に異なり(P < .01)、男性は女性よりも高いASCを報告した(平均 [SD], 2.94 [0.41] vs 2.78 [0.38] )。3年目終了時の成績に有意な性差が認められ(P < .01)、女性は男性と比較してより良好な成績を収めた(平均 [SD], 94.1 [59.04] vs 124.24 [64.54] )。ASCと2年目終了時の成績の関係から、ASCが高い学生は前臨床段階でより良い成績を収めることが示唆された。

結論:本研究は、(1)卒前医学教育カリキュラム全体におけるASCと学業成績の関係に影響を与える追加要因の特定と評価、(2)学生のASCと成績を支援し学習環境を強化するためのエビデンスに基づく介入策の開発と実施、の2つの分野における今後の研究活動を支援するパイロット研究である。複数のコホートにおける縦断的な傾向を分析することで、学習者レベルおよびプログラムレベルでのエビデンスに基づく介入を推進する。