医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Struggle in the bubble - a prospective study on the effect of remote learning and distance education on confidence in practical surgical skills acquired during COVID-19 (BMC Med Educ 2023)

Kneifel F, Morgul H, Katou S, Hölzen JP, Strücker B, Juratli M, Pascher A, Becker F. Struggle in the bubble - a prospective study on the effect of remote learning and distance education on confidence in practical surgical skills acquired during COVID-19. BMC Med Educ. 2023;23:115.

背景:コロナウイルス感染症(COVID-19)は、医療制度や医学教育を大きく変化させた。大学は医学教育を継続するために、遠隔教育や遠隔操作に基づく革新的なカリキュラムを開発することが要求された。本研究は、COVID-19に関連した遠隔教育が医学生の外科トレーニングに与える影響を調査することを目的とした前向きアンケート調査である。

方法:ミュンスター大学病院の医学生を対象に、手術スキルラボ(SSL)の前後に16項目の質問票による調査を実施した。対象は、厳格なソーシャル・ディスタンス制限によりSSLを遠隔で行う必要があった2021年夏学期(COV-19)と、SSLを対面式の実技コースとして提供した2021年冬学期(postCOV-19)の2コホートであった。

結果:両コホートとも、受講前と受講後の自信の自己評価で有意な向上が見られた。無菌作業に対する自信の向上度については、両コホート間で有意差は認められなかったが、皮膚縫合と結び目に関する自信の向上度は、COV-19コホートで有意に高かった(p < 0.0001)。しかし、病歴聴取と身体に関する平均的な改善は、postCOV-19コホートで有意に高かった(p < 0.0001)。サブグループ分析では、性別による違いは2つのコホートで異なり、特定のサブタスクとは関係がなかった。一方、年齢層別分析では、若い学生ほど優れた結果を示した。

結論:本研究の結果は、医学生の外科トレーニングにおける遠隔教育の有用性、実現可能性、妥当性を明らかにするものであった。本研究で提示されたオンサイト型遠隔教育版は、政府のソーシャル・ディスタンスの制限を遵守し、安全な環境で実地経験を継続することが可能である。