医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

An Analysis of Trainee Status of the Primary Care Physician and Ambulatory Care Outcomes (Acad Med 2024)

Graham KL, Norian E, Li J, Amat M, Davis RB. An Analysis of Trainee Status of the Primary Care Physician and Ambulatory Care Outcomes. Acad Med. 2024 Feb 14. Epub ahead of print.

背景:先行研究では、学術医療センターにおいて研修生が担当する患者と教員が担当する患者の転帰に格差があることが報告されている。本研究では、健康の社会的決定要因およびプライマリ・ケアの保持の違いを調整したうえで、研修生をプライマリ・ケア医とした場合と教員をプライマリ・ケア医とした場合とで、日常的な集団の健康アウトカムに及ぼす影響を検討した。

方法:このコホート研究では、2019学年度に60名の教員と110名の内科研修生が学術病院付属診療所でプライマリ・ケアを受けた患者38,404例を評価した。日常的な外来診療の指標に対するプライマリケア実践研修生の状態の影響を、医師レベルのクラスタリングを考慮するために一般化推定方程式法による対数二項回帰を用いてモデル化した。健康の社会的決定要因および追跡不能の調整前後のリスク推定値を示した。

結果:研修生コホートと教員コホートは急性疾患負担の分布が類似していたが、研修生コホートの患者は白人以外の人種であることが有意に多く(2,476人[52.6%]対14,785人[38.5%]、P < . 001)、貧困に関連する郵便番号に住んでおり(1,688人[35.9%]対9,122人[23.8%]、P < 0.001)、公的医療保険を利用しており(1,021人[21.7%]対6,108人[15.9%]、P < 0.001)、英語の能力が限られていた(1,415人[30.1%]対5,203人[13.6%]、P < 0.001)。調整後解析では、プライマリケア医の研修生ステータスは乳がん検診の欠如とは関連していなかったが、大腸がん検診の機会損失(相対リスク[RR]、0.77;95%CI、0.68-0.88)、2型糖尿病のコントロール(RR、0.78;95%CI、0.64-0.94)、高血圧のコントロール(RR、0.80;95%CI、0.69-0.94)と関連していた。

結論:プライマリ・ケア医の研修生であることは、社会経済的要因や追跡不能の差を調整した後、外来でのケアの質が低いことと関連しており、外来研修の潜在的なギャップを浮き彫りにした。