医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical students' perceptions of prosocial behaviors: a grounded theory study in China (BMC Med Educ 2024)

Jin L, Jowsey T, Yin M. Medical students' perceptions of prosocial behaviors: a grounded theory study in China. BMC Med Educ. 2024;24:353.

背景:向社会的行動 (prosocial behavior)はバーンアウトを予防することが示されている。しかし、医学生の向社会的行動についてはほとんど知られていない。我々は、中国の医学生が向社会的行動についてどのように理解しているのか、またどのような要因が向社会的行動への参加に影響を与えているのかを知りたいと考えた。

方法:Corbin & Straussに従い、グラウンデッド・セオリー研究を行った。コンビニエンス・サンプリングを用い、半構造化個人面接を実施した。オープン・コーディング、アキシャル・コーディング、セレクティブ・コーディングの手法を用いてデータを分析した。次に、データを概念にグループ化した。これらの概念は、既存の3つの社会理論と一致していることに気づき、これらの理論(Theory of Planned Behavior, Self-Determination Theory, and Social Support Theory)と協調して理論を構築した。

結果:本研究には28名の医学生が参加した。医学生は医師の役割について特別な見解を持っており、これらの見解のほとんどは、向社会的行動の価値を含む学生の中核的価値観と一致していた。学生は、自分の中核的価値観に合致した向社会的行動をとるよう内発的に動機づけられる。個人的価値観、性格特性、知覚された自己能力、キャリア動機、環境要因、および家族の影響が、医学的に積極的な向社会的行動に影響を及ぼす中核的要因である。

結論:本研究は、医学教育において利他的行動 (altruistic behavior)ではなく向社会的行動に焦点を当てることを支持するものである。医学教育カリキュラムを通じて向社会的行動を促進することで、医学生の道徳的苦痛やバーンアウトが減少することが期待される。