医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

'When I stood up for something it's because I felt a… moral violation': Trainees' acts of resistance against social harm and injustice (Med Educ 2023)

Wyatt TR, Jain V, Ma TL. 'When I stood up for something it's because I felt a… moral violation': Trainees' acts of resistance against social harm and injustice. Med Educ. 2023 Nov 17. Epub ahead of print.

背景:世界中の医学生が自分の選んだ職業に就くとき、自分たちが設計したわけでも、作り出したわけでもないシステムを受け継ぐことになる。このシステムは、何世紀にもわたる社会的弊害と不公平に根ざしている。本研究では、研修生が抵抗活動において何を達成したいのか、なぜ抵抗するのか、どのような戦術を用いるのかを理解するために、研修生の職業上の抵抗行為を調査する。

方法:counter-storytellingとcritical theoryに基づき、北米の医学生9名とレジデント・フェロー9名から詳細な質的インタビューを収集した。抵抗行為の研究方法に関する理論的ガイダンスを用いて、抵抗者の抵抗の意図と、研修生が何を、なぜ、どのように抵抗しているかを理解するために使用した戦術を理解するために、コーディング技法を組み合わせてデータを分析した。分析結果は参加者に返却し、メンバーのチェックを受けた。

結果:研修生たちは、異なる時代の価値観や慣習を反映した古い世代から遺された、危害と不正のシステムに抵抗していると述べた。彼らの動機は、患者や学習者に対する虐待からくる根深い道徳的苦痛に起因していた。彼らは、患者や学習者中心の医学教育を再認識することを望んだ。彼らが選択した戦術は、彼らが制度においてどの程度の力を持っているか、また自分たちの努力をどの程度知ってもらいたいかによって異なっていた。

結論:研修生たちは、より広範な専門職に埋め込まれた社会的弊害や不公正に対して、専門職を再創造するために意図的・計画的に抵抗する行為について述べた。これらの行為が地理的に広い範囲に及んでいることから、本研究は、研修生が専門職の中に広範な変化を生み出すことを目的とした、より大きな社会運動の一部である可能性を示唆している。