医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Pushing, standing and bringing to light: How medical trainees conceptualise professional resistance (Med Educ 2024)

Konopasky A, Ma TL, Wyatt TR. Pushing, standing and bringing to light: How medical trainees conceptualise professional resistance. Med Educ. 2024 May 4. Epub ahead of print.

背景:医学教育における被害と不正に関する文献の多くは、研修生が変化を起こそうとする努力よりも、抑圧の影響に焦点を当てている。このような努力を認め、可視化するためには、医学教育の専門家は、研修生が抵抗をどのように認識しているのか、また変化をもたらすうえで研修生がどのような役割を担っているのかを把握しなければならない。この批判的質的研究は、機能的言語理論と「日常的」抵抗理論 (functional linguistic and 'everyday' resistance theories)を用い、研修生が抵抗について語り、抵抗について概念化する瞬間における抵抗の実践とその表象の選択について理解することを目的とする。

方法:専門職のネットワークとスノーボールサンプリングによって参加者を集め、北米の医学研修生(医学生9名、レジデントおよびフェロー9名)の抵抗の概念化を探るために、詳細なインタビューを行った。応用機能言語分析の枠組みを用いて、研修生が社会的不公正に対する抵抗の努力を概念化する際の表象メタ機能を分析した。抵抗の「日常的」行為についてのオープンコーディングから始め、その後、抵抗の概念化を特徴づけるために、参加者の言語における言語的プロセスタイプに焦点を当てたコーディングへと移行した。

結果:参加者は、自分たちの抵抗の実践を3つの異なる方法で概念化していた。1つ目は、物質的なプロセスタイプ(doing)を主に用いた、ほとんど肉体的な押し戻し。2つ目は、物質的で関係的なプロセスタイプ(being)を主に用いた、体現された立ち上がりと存在。3つ目は、精神的で言語的なプロセスタイプ(thinking)を主に用いた、認識論的な明るみに出すことであった。これらの抵抗のプロセスは、医学教育における不公平、害悪、不公正をめぐる現状に挑戦しようとする参加者の努力を概念化したものである。

結論:本研究は、抵抗に関する文献を基礎とし、抵抗の実践を「押し返す」「存在する」「明るみに出す」といった類型化する可能性を提示するものである。これらは「日常的な」抵抗行為であるため、教員を含む誰もが利用できる戦術である。教育や学習であれ、医学におけるより大きな構造との相互作用であれ、私たちはみな抵抗する力を持っている。