医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

"I never wanted to burn any bridges": discerning between pushing too hard and not enough in trainees' acts of professional resistance (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2024)

Wyatt TR, Jain V, Ma T. "I never wanted to burn any bridges": discerning between pushing too hard and not enough in trainees' acts of professional resistance. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2024 Feb 13. Epub ahead of print.

背景:研修生が医療における社会的危害や不公正に抵抗するとき、彼らは、強く押しすぎて自分の評判を危険にさらすか、あるいは十分に押せずに変化を全くもたらさないかの緊張を乗り越えなければならない。我々は、研修生がこの緊張にどのように対処しているかを理解するために、抵抗する前と抵抗している間に研修生が何に注意を払うかを調べることで、見極めのプロセスを探る。

方法:研修環境における社会的危害や不公正に抵抗するストーリーを共有した18人の医学研修生にインタビューを行った。ヴィンターゲンとヨハンソンの研究(抵抗を、より大きなシステムの中での個人の主観性、彼らが自分自身を見出すコンテクスト、そして他者との相互作用を含むダイナミックなプロセスとして概念化している)を用いて、open and focused codingによりインタビューを分析した。

結果:我々は、これらの行為を、権力を弱体化させようとする個人の試みであると同時に、権力に絡め取られ、その努力のために権力を必要とする個人の試みでもあると考えた。どのように抵抗するか、また抵抗するかどうかを決定する際、研修生は、潜在的なリスクと変化の可能性を比較する費用便益分析を行った。自分の行為が他者との関係にどのような影響を与えるか、抵抗することで個人やプログラムの評判が落ちないか、関係する他の利害関係者の体現的・社会的な合図を考慮した。

結論:研修生は、報復の可能性から身を守るために、大量の情報を分析するダイナミックな評価プロセスを経る。研修生がプロフェッショナルな態度を保ち、医学教育というやりがいのある仕事を続けることができるのは、彼らを取り巻く環境のこうした様々な要因に気を配ることによってなのである。