医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Psychological safety in medical education: A scoping review and synthesis of the literature (Med Teach 2023)

McClintock AH, Fainstad T, Blau K, Jauregui J. Psychological safety in medical education: A scoping review and synthesis of the literature. Med Teach. 2023 Jun 2:1-10. Epub ahead of print.

背景:心理的安全性(PS)とは、リスクを取るための環境が安全であるという信念のことである。利用可能なデータは、医学教育におけるPSの欠如を指摘している。他の分野の文献によれば、臨床学習環境(CLE)におけるPSは、研修生の幸福感、帰属意識、学習をサポートする可能性がある。しかし、医学教育におけるPSに関する文献は広範に評価されていない。

方法:2020年、著者らはPubMed、Web of Science、CINAHL、Scopus、ERIC、PsycInfo、JSTORを検索し、2020年1月以前に出版された論文を調べた。著者は、すべての検索結果について、特定の基準を用いて適格性を審査した。データを抽出し、テーマ分析を行った。

結果:52本の論文が基準を満たした。大半は卒後医学教育に焦点を当て(45%)、研究の42%はCLE内で行われたものであった。論文では、組織やチームレベルの構成要素が取り上げられており(58%)、安全を促進したり妨げたりするチームメンバーの特定の行動に関する記述は少なかった。研修生や患者にとって安全な環境がどのような影響を与えるかについては、さらなる検討が必要な分野である。

結論:今後の研究では、PSを促進する組織的・対人的リーダーの行動を具体的に定義し、PSが個々の研修生によってどのように決定されるかを理解し、PSが研修生、学習、患者ケアの結果に与える影響を測定することに焦点を当てるべきである。