医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The ward round: friend or foe in postgraduate training? A grounded theory study of residents' perspectives (Med Educ Online 2022)

Noorani M. The ward round: friend or foe in postgraduate training? A grounded theory study of residents' perspectives. Med Educ Online. 2022;27:2101180.

背景:病棟回診は、従来から医学教育における学習活動として行われてきた。教育とは別に、病棟回診には患者ケアやコミュニケーションなど複数の役割がある。病棟回診は患者管理を学ぶ理想的な場であるとする研究がある一方、時間や患者数の不足から回診ではほとんど学習が行われないとする報告もある。本研究は、卒後研修生の視点から病棟回診の学習についてより深く理解することを目的とした。

方法:構成主義的なグラウンデッド・セオリー・アプローチを用い、フォーカス・グループ・ディスカッションでデータを収集した。データは、初期コーディングによって分析され、次に焦点化されたコードにグループ化され、定比較のプロセスによって理論的枠組みが開発された。

結果:その結果、6つのカテゴリーが形成され、このフレームワークに貢献した。卒後研修生は、病棟回診を、専門医に必要な知識、態度、技能を習得するために様々な学習活動を行う重要な場として認識している。彼らは、病棟回診を指導する教員の監督のもとで、初心者から専門家へと成長していく。回診は、よく計画され組織化されていれば、その学習能力を十分に発揮することができるが、学習環境が不親切であれば、機会を逸することになりかねない。病棟回診の学習を妨げる、患者および学習者に関連する障壁が存在する。

結論:このフレームワークは、卒後医学教育において病棟回診の学習がどのように行われるかを研修生の視点から説明するものである。この知見は、学習経験を改善するための介入を導くことができる。病棟回診の複雑な学習環境をさらに理解するために、教師の視点と学習者の視点を比較する研究が必要である。