医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Trainees' perceptions of being allowed to fail in clinical training: a sense-making model (Med Educ 2022)

Klasen JM, Teunissen PW, Driessen E, Lingard LA. Trainees' perceptions of being allowed to fail in clinical training: a sense-making model. Med Educ. 2022 Nov 4. Epub ahead of print.

背景:臨床監督者は、患者の安全に対する懸念よりも研修生の学習が優先される場合に、臨床場面で研修生に失敗することを許可する。研修生は失敗を教育的価値と感情的消耗の両方として認識している。しかし、指導された失敗 (supervised failures)のニュアンスは研修生の視点から研究されていない。本研究では、それらの事象を深く理解するために、研修生の失敗に対する意識と失敗を許容する経験を探った。

方法:ヨーロッパとカナダの9つの教育現場から15名の卒後研修生にインタビューを行った。参加者は、様々な専門分野の臨床研修1~10年を代表する、合目的的サンプルとした。constructivist grounded theoryに基づき、データ収集と分析を繰り返し、テーマを探求するための理論的サンプリングをサポートした。

結果:研修生は、失敗は一般的で貴重な感情的経験であると報告した。また、監督者は失敗を許容していると認識していたが、明確に確認されたり、議論されたりしたことはなかったと報告した。そのため、研修生は自分自身でこれらの出来事に意味を見出そうとした。失敗を監督者が許容していると解釈した場合、研修生は監督者の意図を確かめようとした。そして、監督者の意図を建設的なものと判断した場合と破壊的なものと判断した場合について説明した。

結論:研修生は、失敗を貴重な学習機会として認識していることが確認された。監督者との明確な会話がない場合、研修生は自分自身で失敗の意味を理解しようとした。失敗を許容されたと判断した場合、その解釈は監督者の意図の帰属によって彩られる。このような意図の有無は、その体験がもたらす教育的効果に影響を与える可能性がある。研修生の意味づけを支援するために、失敗事象の発生時および発生後の監督者の会話では、失敗についてより明確な言葉で説明し、監督者の意図を説明することが必要であることが示唆された。