医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

How Trainees Come to Trust Supervisors in Workplace-Based Assessment: A Grounded Theory Study (Acad Med 2021)

Castanelli DJ, Weller JM, Molloy E, Bearman M. How Trainees Come to Trust Supervisors in Workplace-Based Assessment: A Grounded Theory Study. Acad Med. 2021 Nov 2. Epub ahead of print.

背景:コンピテンシーベースの医学教育において、職場での評価は、研修生には指導の機会を、指導者には研修生の臨床実践を判断する機会を与える。評価からの学習は、研修生が自分の考えを明らかにし、批評を受け入れることで強化されるが、それには評価者への信頼が必要である。職場での評価において、研修生がどのようにして評価者を信頼するようになるのかを指導者がもっと知っていれば、研修生の信頼をより高め、研修生の学習経験を向上させることができるだろう。

方法:2018年8月から2019年9月にかけて、オーストラリアとニュージーランドの卒後麻酔科研修生17名に半構造化インタビューを行った。トランスクリプトは、WengerのCommunities of Practice理論から得た社会文化的な学習観に感応した構成主義的グラウンデッド・セオリーの手法を用いて分析した。

結果:参加者は、必要な初期信頼から、経験に基づく動的信頼までの連続性を説明した。研修生は、監督者に対する初期信頼は、認定、評判、監督者の役割に内在する信頼性の義務の認識に基づいていた。経験と時間の経過とともに、研修生の信頼は上司の行動に基づいて進化していった。研修生の信頼は、認知された上司の投資に応じて深くなり、研修生は感情や認知のリソースを印象管理ではなく、患者のケアや学習に充てることができるようになった。初期信頼から経験に基づく信頼までの一連の流れのなかで、研修生は意識的な熟考に先立ってではなく、学習した「ゲーム感覚 (feel for the game)」に基づいて迅速に信頼を判断していた。

結論:他の要因もあるが、今回の結果は、職場での評価において観察された研修生の行動は、上司の誘いの産物であることを示している。監督者の信頼性と研修生の育成への投資は、職場での評価において、研修生が本物の方法で仕事やプレゼンテーションをすることを促す。学習者が監督者に「自分を見せ」てリスクを取るという、このような本物の関与が、学習のための評価を生み出すのである。