医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Learning Together: Co-Learning Among Faculty and Trainees in the Clinical Workplace (Acad Med 2022)

Haddock L, Rivera J, O'Brien BC. Learning Together: Co-Learning Among Faculty and Trainees in the Clinical Workplace. Acad Med. 2022 Jul 12. Epub ahead of print.

背景:職場学習 (workplace learning)に関する研究は、主に臨床現場で個人(臨床医や研修生)がどのように学習しているかに焦点を当てている。このような研究は、個人に焦点を当てることで、臨床医・教育者と研修生が共に学ぶ(共同学習 (co-learning))という学習の共同構成的な性質を探求する機会を逸している。本研究の目的は、職場において共同学習が行われているのか、またどのように行われているのか、そして共同学習にはどのような価値があるのかを探ることであった。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて、ある学術機関の10の専門分野の臨床医・教育者34名にインタビューを行い、共同学習が実践されているか、またどのように行われているか、教員や研修生にとってその価値をどのように認識しているかを調査した。インタビューは、2019年6月から12月にかけて実施され、記録された。繰り返し分析を通じて、著者らは共同学習の概念モデルを洗練させた。

結果:教員のインタビューから導き出された3つの部分からなる共同学習のモデルでは、教員と研修生が共同で仕事に関連する活動中に学習機会を特定し、意味の解釈と構築につながる学習のための学習戦略を選択し、これらの活動は理解や洞察といった学習成果を生み出す。また、このモデルは、教員と研修生の間の経験や立場の非対称性も考慮している。参加したすべての教員は、共同学習を評価し、職場で使用する際の障壁と促進要因を明らかにした。教員は非対称性をどのように管理するかによって、共同学習の性質が形成された。教員と研修生の間の非対称性を軽減するように努めた場合、共同学習はしばしば協力的に行われた。

結論:共同学習のモデルは、職場学習における非対称性の概念を明確にし、関連する力学が学習の性質にどのように影響するかを考察する助けとなる。教員は、職場が提供する学習機会を十分に活用するために、非対称性を意図的に管理する必要がある。