医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Management reasoning: empirical determination of key features and a conceptual model (Acad Med 2022)

Cook DA, Stephenson CR, Gruppen LD, Durning SJ. Management reasoning: empirical determination of key features and a conceptual model. Acad Med. 2022 Jul 6. Epub ahead of print.

背景:management reasoningは、臨床現場や医学教育において重要でありながら、十分に研究されていない現象である。著者らは、management reasoningの主要な特徴を実証的に明らかにし、management reasoningのプロセスを記述するモデルを構築することを目指した。

方法:2020年11月に、4名の研究者がそれぞれ外来の医師と患者の模擬的なencounterのビデオクリップ10本をレビューし、コーディングフォームを使用してmanagement reasoningに関連する主要な特徴と洞察を文書化した。チームは定比較法を用いて、120ページの生の観察結果を、マネジメントのタスク、プロセス、洞察の18ページのリストへと抽出した。その後、チームは一連のディスカッションを行い、これらの発見をmanagement reasoningの簡略化されたモデルへと繰り返し改良していった。

結果:以下の12個のmanagement reasoningの特徴が同定された:「複数の解決策の比較検討と選択」「患者・臨床医・システムの希望と制約の優先順位付け」「コミュニケーションと意思決定の共有」「マネジメント計画の継続的モニタリングと調整」「人・システム・競合する優先事項の動的相互作用」「疾患固有の知識」「プロセス知識」「マネジメントスクリプト」「患者指導者と販売員としての臨床医の役割」「臨床医・患者関係」「予後予測」「臨床相談の構成(配列と時間管理)」。マネジメントスクリプトは、顕著かつ重要な役割を果たすと思われた。management reasoningのモデルは、マネジメントスクリプトの作成、(複数の)選択肢の特定と患者への指導の開始、意思決定の共有、継続的なモニタリングと調整の4つのステップから構成されていた。また、このモデルは2つの包括的な特徴を持つ。すなわち、management reasoningは患者に合わせたものであり、臨床家の頭の中だけで行われるのではなく、個人間で行われるということである。

結論:マネジメントスクリプトは、実行可能な選択肢についての患者への教育、共有された意思決定、継続的なモニタリングと調整、個人化とともに、management reasoningの重要な特徴を構成している。management reasoningは、臨床家の中だけでなく、個人間で構築され、交渉されるようである。