医学教育研究者・総合診療医のブログ

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The Effect of Bedside Rounds on Learning Outcomes in Medical Education: A Systematic Review (Acad Med 2022)

Ratelle JT, Gallagher CN, Sawatsky AP, Kashiwagi DT, Schouten WM, Gonzalo JD, Beckman TJ, West CP. The Effect of Bedside Rounds on Learning Outcomes in Medical Education: A Systematic Review. Acad Med. 2022 Jan 11. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、ベッドサイドラウンドが他の病棟回診と比較して、医学教育における学習成果を向上させるかどうかを判断することである。

方法:このシステマティックレビューのために、著者らは、inceptionから2020年2月20日までのOvid MEDLINE、Embase、Scopusを検索した。実験的研究は、(1)病院を拠点とする環境において、ベッドサイド回診と他の形式の回診を比較し、(2)研修中の医師(医学生、レジデント、フェロー)における学習成果(例:学習者の反応、知識、技能、行動、医療提供)の定量比較を報告したものを対象とした。抽出された要素は、記述統計学とデザイン、実施、結果に関する叙述的統合を使用して要約された。

結果:20の研究が包括基準を満たし、そのうち7つはランダム化試験であった。すべての研究がレジデントを対象としており、11の研究では医学生も対象としていた。ベッドサイドでの回診のデザインと実施方法は多岐にわたり、ほとんどの研究(n = 13)では共同介入(例:スタッフ教育、リアルタイムのオーダー入力)が行われていた。学習者の満足度を報告した15件の研究のうち、7件はベッドサイド回診に賛成、4件はコントロールに賛成、4件はどちらでもない、であった。学習者の知識と技能のアウトカムを報告した4件の研究のうち、2件がベッドサイドラウンドを支持し、2件がどちらともいえない結果であった。学習者の行動(例:ベッドサイドでの患者とのコミュニケーション)について報告した8件の研究のうち、5件がベッドサイドラウンドを支持し、1件がコントロールを支持し、2件がどちらともいえない結果であった。最後に、医療提供のアウトカム(例:チームワーク、回診時間)を報告した14件の研究のうち、8件がベッドサイドラウンドを支持し、6件がどちらともいえない結果であった。研究間のバイアスのリスクが高く、説明のつかない異質性があるため、全体的なエビデンスの強さは低かった。

結論:病院を拠点とする環境では、ベッドサイドでの回診に対する学習者の満足度はまちまちである。しかし、ベッドサイドでの回診は、学習者の行動や医療提供に対してプラスの効果があるようである。ベッドサイド回診の潜在的価値を考えると、教育的に成功したベッドサイド回診の障壁と促進要因を特定するための追加研究が必要である。