医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Drama Training as a Tool to Teach Medical Trainees Communication Skills: A Scoping Review (Acad Med 2022)

Landry-Wegener BA, Kaniecki T, Gips J, Lebo R, Levine RB. Drama Training as a Tool to Teach Medical Trainees Communication Skills: A Scoping Review. Acad Med. 2022 Dec 12. Epub ahead of print.

背景:俳優が必要とするスキルと臨床コミュニケーションにおいて医師に求められるスキルが類似していることを認識し、医学教育者はコミュニケーションスキルを教えるためにドラマベースの介入を作りはじめている。このスコーピングレビューの目的は、医学研修生のコミュニケーションスキルを教えるためにドラマトレーニングを使用する既存の教育的介入を要約することであった。

方法:著者らは、PubMed,CINAHL Plus,Embase,ERIC,Web of Science Core Collectionを2020年3月から2022年3月まで複数回にわたり検索した。論文は、(1) 教育的介入の構成要素を記述し、(2) ドラマトレーニングに基づく能動的介入を行い、(3) 学習者のコミュニケーションスキルの向上というカリキュラム目標を述べ、(4) 医学研修生の学習者が含まれるものを対象とした。抽出されたデータは、対象となった学習者、教育的介入の詳細、評価ツール、成果などであった。また、各研究の質を評価した。

結果:30の論文が包括基準を満たした。25の論文(83%)が演技と即興の練習を含み、9の論文(30%)がフォーラムシアターの慣習の一部または全部を使用し、3の論文(10%)がドラマティック・パフォーマンスを使用したものであった。介入には、卒前、卒後、継続的医学教育の学習者が含まれていた。ほとんどが選択制で、演劇界のメンバーが関与していた。全体的な研究の質が低い(平均MERSQIスコアは8.5)ため、エビデンスの強さは限られていたが、学習者の知識、スキル、および/または行動を評価した8件の論文のうち、大半は介入後のコミュニケーションスキルの初期改善を示していた。

結論:このレビューは、コミュニケーションスキルの向上というカリキュラム目標に焦点を当て、ドラマトレーニングのより広い範囲(医療インプロを除く)を含む、著者の知る限り最初のものである。収録された論文は多様な介入を表しているが、概して学習者のコミュニケーションスキルの向上という結果を報告している。ベストプラクティスとドラマベースのイニシアチブの一般化可能性を決定するために、より質の高い研究が必要である。