医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Striving to thrive or striving to survive: Professional identity constructions of medical trainees in clinical assessment activities (Med Educ 2023)

Liao KC, Ajjawi R, Peng CH, Jenq CC, Monrouxe LV. Striving to thrive or striving to survive: Professional identity constructions of medical trainees in clinical assessment activities. Med Educ. 2023 Jul 2. Epub ahead of print.

背景:評価は、能力開発と将来の専門家の形成において重要な役割を果たしている。その学習への肯定的な影響とは裏腹に、評価の意図せざる結果が注目されるようになってきている。プロフェッショナル・アイデンティティと、それが評価の文脈におけるような社会的相互作用を通じてどのように動的に構築されうるかを考慮し、本研究では、評価が医学研修生におけるプロフェッショナル・アイデンティティ形成にどのような影響を及ぼすかを理解することを目的とした。

方法:社会構築主義に基づき、臨床評価の文脈において、研修生が自分自身と評価者のために語るさまざまな立場と、これらの立場が構築されたアイデンティティに与える影響を調査するために、談話的、物語的アプローチを採用した。本研究では、28名の医学研修生(学生23名、卒後研修生5名)を合目的的に採用し、入職時、フォローアップ、退職時のインタビューに参加するとともに、研修プログラムの9ヶ月間にわたる縦断的な録音・筆記日記を提出させた。学際的なチームワークのアプローチを用いて、テーマ別フレームワーク分析とポジショニング分析(登場人物が語りの中で言語的にどのように位置づけられるかに着目)を行った。

結果:60のインタビューと133の日記から、成長しようとする努力と生き残ろうとする努力 (striving to thrive and striving to survive)という2つの主要な筋書きが、研修生のアセスメント・ナラティブを通して特定された。成長、発達、改善の要素は、アセスメントで成長しようとする研修生の語りの中で確認された。無視、抑圧、場当たり的な語りは、研修生がアセスメントから生き残ろうと努力していることを語る際に詳しく説明された。研修生が採用した9つの主要な人物像と、6つの主要な評価者の人物像が特定された。これらを統合し、より広い社会的意味合いについて詳述しながら、2つの模範的な語りの分析を紹介する。

結論:言説的アプローチを採用することで、評価の文脈で研修生がどのようなアイデンティティを構築しているかだけでなく、それらがより広範な医学教育の言説とどのように関連して構築されているかをよりよく理解することができた。この知見は、教育者が研修生のアイデンティティ構築をより促進するために、アセスメントのあり方を反省し、修正し、再構築するために有益である。