医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

It's very difficult to set the boundaries, it's human nature to want to respond: exploring health professions educators' responses to student mental health difficulties through a positioning theory lens (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Marais DL. It's very difficult to set the boundaries, it's human nature to want to respond: exploring health professions educators' responses to student mental health difficulties through a positioning theory lens. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Jun 9. Epub ahead of print.

背景:健康専門職(HP)教育者は、その教育的役割と学生との接触により、精神的な困難を経験している学生にとって最初の接点となることが多い。教育者は、その役割のなかに何らかの形でpastoral careを含めることがますます求められている。特に、役割と期待が明確に定義されておらず、境界線が効果的に管理されていない場合、学生とのメンタルヘルス関連の交流は、教育者に負の感情的影響を与える可能性がある。本研究では、ポジショニング理論 (positioning theory)をレンズとして用い、教育者がこのような相互作用をどのように経験し、それがどのようにポジション、ストーリーライン、発話行為に現れているかを探った。

方法:医学・健康科学部のHP教育者27名にインタビューを実施した。帰納的コーディングを用いた反射的テーマ分析により、参加者がメンタルヘルスに問題を抱える学生との関係で採用した接近、加重、両価、遠距離の位置に対応するテーマを特定した。

結果:参加者はそれぞれ、異なる関係性の状況に応じて、異なるポジションを移動していた。複数のストーリーラインがこれらのポジションに影響を与え、道徳やケアに基づく責任が反応性とどのように交わり、特定の行動を可能にしたり不可能にしたりするのかを表現した。ストーリーラインには規範的で個人的な価値観の語りが見られ、多くの場合、ケアや正義の倫理観が強調されていた。

結論:このような相互作用に携わる教育者のために、反省的なFDを促進するためのポジショニング理論の価値について議論する。