医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Neglect as an undefined and overlooked aspect of medical student mistreatment: A systematic review of the literature (Med Teach 2023)

Kloos J, Simon E, Sammarco A, El-Nashar S, Bazella C. Neglect as an undefined and overlooked aspect of medical student mistreatment: A systematic review of the literature. Med Teach. 2023 Jun 10:1-9. Epub ahead of print.

背景:医学生のmistreatmentはよく研究されているテーマであるが、mistreatmentの範囲には、発表された文献に基づく定義が受け入れられていないサブタイプであるneglectがしばしば除外されている。このレビューでは、neglectの有病率と記述要素に関する既存のデータを要約し、それを改善するために設計された文献に見られる戦略を特定し、将来の研究の指針となるこの現象の統合された定義を提供することを目指した。

方法:PRISMAガイドラインに従い、2000年から2021年4月までの関連する系統的な文献検索を行い、アメリカのメディカルスクール内の臨床環境におけるneglectに関する文献を特定した。

結果:neglectは、最適でない学習環境に関連する医学教育における定義が不十分な現象であり、医学生のmistreatmentに関する研究からは除外されることが多い。neglectは、学習環境を良好に保つための障害であるが、データの少なさと現在の文献の異質な性質により、その真の有病率を推定することは困難である。neglectを含む研究では、neglectをアイデンティティ差別やキャリア志向の結果のみとして評価することが多い。最近の介入策としては、学生と臨床教員との間の縦断的な関係を促進することや、教育への期待を確立することが挙げられる。

結論:neglectとは、意図的であるかどうかにかかわらず、学習や学生のwell-beingに顕著な悪影響を及ぼすような、臨床環境に有意義に取り込まれないことによる、医療チームによる医学生のmistreatmentのことである。共通の参照点を作り、その真の普及率、関連変数、最良の緩和策を理解するため、また、個人的およびプロフェッショナル・アイデンティティの結果として、neglectを独立して検討すべき将来の研究の指針とするため、文献に基づいた確立された定義が必要である。