医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Learner Handoffs Within Clinical Rotations: From the Resident Perspective (Acad Med 2022)

Fishman MD, Harriel KL, Kahane CG, Gustafson S, Winn AS, Fromme HB, Marcus CH. Learner Handoffs Within Clinical Rotations: From the Resident Perspective. Acad Med. 2022 Dec 22. Epub ahead of print.

背景:コンピテンシーベースの医学教育では、学習者の縦断的な評価を繰り返すことが重要である。臨床ローテーションのなかでアテンディングが頻繁に交代することは、コンピテンシーベースの医学教育で求められる教育の継続性に大きな障害をもたらす。学習者ハンドオフ(Learner handoffs; LHs)、すなわちチーム内の学習者に関する情報を指導教官間で伝達することが解決策となり得る。LHsに関する教育指導者や臨床教員の視点についての文献はあるが、学習者の視点についてはあまり記述されていない。

方法:この質的研究では、2021年7月から12月にかけて、規模や地理的位置の異なる3つのプログラムの小児科レジデントのフォーカスグループをテーマ分析で行った。2名の著者が最初の3つの逐語録を独立して読み、コードブックを作成し、残りの逐語録を独立してコード化し、テーマの飽和を確認した。浮かびあがったテーマは、コンセンサスが得られるまで議論され、修正された。

結果:3つのプログラムから44名の小児科レジデントが8つのフォーカスグループに参加した。LHsが(1)学習者、(2)臨床実践、(3)学習環境に与えるポジティブな影響について、テーマが特定された。参加者は、自分自身の成長、チーム機能、信頼、患者の安全性など、多くのプラスの効果を述べた。この経験は、現在のLHの状況におけるバイアスのリスクと相殺されるものであった。LHの内容(どのような情報)、プロセス(誰が関与するか)、形式(どのように提供するか)に焦点を当て、構造化されたLHの枠組みを導入するための提案がなされた。参加者は、構造化されたLHツールの作成が、偏見や透明性の欠如など、認識されている課題を軽減する可能性があると考えていた。

結論:レジデントはLHsを通して学習者自身、臨床実践、学習環境に潜在的な利益を認識しているが、さらに偏見を広めることに懸念を表明している。構造化された学習者中心の LHツールの開発は、学習者の専門的な開発を加速させ、同時に認識された課題を軽減させる可能性がある。今後の研究では、すべての主要な利害関係者の意見を取り入れながら、LHモデルの本質的な構成要素を定義する必要がある。