医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

How medical learners and educators decide what counts as mistreatment: A qualitative study (Med Educ 2023)

Vanstone M, Cavanagh A, Molinaro M, Connelly C, Bell A, Mountjoy M, Whyte R, Grierson L. How medical learners and educators decide what counts as mistreatment: A qualitative study. Med Educ. 2023 Feb 23. Epub ahead of print.

背景:医学学習者の仲間や指導者によるmistreatment or abuse (maltreatment)は、数十年前から世界的に記録されており、そのprevalence、後遺症、介入のための戦略に関する研究も盛んである。しかし、学習者が経験する虐待は、研究者、教育者、管理者よりも明確でないという証拠がある。この定義のあいまいさが、この問題を理解し、対処するための問題を引き起こしている。本研究の目的は、医学学習者と教育者が臨床学習環境におけるあまり理想的でない相互作用をどのように意味付けるかを理解し、その遭遇が虐待に該当するという認識に影響を及ぼす要因を説明することであった。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリーを用いて、一つのメディカルスクールに所属する医学生16名、レジデントまたはフェロー15名、教育者18名にインタビューを行った(n = 49)。データ収集は、最も若い学習者から始め、プロジェクトを進めるにつれて分析を繰り返した。経験レベル、臨床環境、相互作用の種類など様々な軸で、「間違いなく」、「たぶん」、「絶対にない」虐待の話を集め、比較するために、定比較分析が使用された。

結果:我々のデータは、学習者と教育者は、最も深刻で具体的なケースを除いて、ネガティブな対人交流の経験を分類することが困難であることを示している。類似の経験を分類する方法には大きなばらつきがあったが、それらの経験を理解するために引き出される要素には一貫性があった。参加者は、ネガティブな対人関係を、その関係、発端、受け手に関連する要素を考慮し、個人単位で解釈していた。

結論:最も否定的な行動のみが一貫して虐待として理解される。それぞれの相互作用の受容可能性を決定するためには、個人の意味づけの複雑なプロセスが必要である。これらの相互作用をどのように判断するかの個人差は、管理・研究・人材育成への介入の機会を浮き彫りにするものである。