医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Standardized patients' experiences of portraying characters in difficult communication scenarios: Narrative inquiry (Med Teach 2024)

Chen HC, Lin CW, Huang CY, Chen HY, Kuo CL, Cheng SF. Standardized patients' experiences of portraying characters in difficult communication scenarios: Narrative inquiry. Med Teach. 2024 Feb 20:1-7. Epub ahead of print.

背景:標準化患者(SPs)が困難なコミュニケーションシナリオの登場人物を演じる際に直面する準備と課題、およびこれらの課題を克服するために使用される戦略について調査した研究は限られている。本研究の目的は、困難なコミュニケーション状況の解釈におけるSPsの経験と、同様のシナリオを演じる際の学習ニーズを理解することである。そして研究者は、SPsとしての役割に関連する意味、信念、価値観、願望を探ることができる。調査結果は、彼らの経験の意義に光を当て、将来のSPトレーニングプログラムの開発に貴重な洞察を提供する可能性がある。

方法:本研究のデザインは、narrative inquiryによって構成されており、半構造化ガイドラインを用いて、困難なコミュニケーション状況のパフォーマンスに参加したことのある11人のSPsに詳細なインタビューを行った。研究データはPolkinghorneのナラティブ分析によって分析され、厳密性を確立するためにRiessmanの4つの基準が用いられた。

結果:分析の結果、次の5つのテーマが明らかになった:シナリオと実生活とのつながり、演技の準備過程、キャラクターから切り離す方法、予期せぬ報酬の獲得、演技訓練の必要性。各テーマの下には2~3個のサブテーマがある。

結論:医療従事者のための困難なコミュニケーションの訓練を強化するために、困難なコミュニケーションシナリオを解釈するSPsの利用は今後も増え続けるだろう。教育者は、SPsが演技前、演技中、演技後に身体的、精神的に十分な準備ができるようにする必要がある。SPsの勤続期間を延ばし、彼らのフラストレーションを軽減し、離職を防ぎ、最終的にはトレーニングコストを削減するためには、継続的な教育とフィードバック技術のトレーニングを提供することが極めて重要である。将来的には、SPのトレーニングには、SPsのストレスを軽減するために、デタッチメントとフィードバックのテクニックも含めるべきである。