医学教育研究者・総合診療医のブログ

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The Role of Equity, Diversity, and Inclusivity in Standardized Patient Programs: A Narrative Review (Acad Med 2021)

Uzelli Yilmaz D, Azim A, Sibbald M. The Role of Equity, Diversity, and Inclusivity in Standardized Patient Programs: A Narrative Review. Acad Med. 2021 Oct 5. Epub ahead of print.

背景:医療専門家を養成するためのカリキュラムに、公平性 (equity)、多様性 (diversity)、包括性 (inclusivity) (EDI)を統合することは、頻繁に行われる機関目標である。健康科学トレーニングにおけるEDIをサポートするための標準化された(またはシミュレートされた)患者プログラム (SPPs)の使用については、あまり説明されていない。ここで著者らは、EDIトレーニングにSPPを使用するための文献の統合に基づく理論モデルを、利用可能な文献のナラティブレビューとともに提示する。

方法:著者らは、PubMed、Scopus、Science Direct、およびGoogle Scholarデータベースを検索し、健康科学教育におけるEDIを支援するためのSPPsの使用について記述した2000年1月から2019年10月の間に発表された研究を探した。EDIを伴う標準化された患者 (SP)教育について記述し、そのデザイン、提供方法、または効果に関する経験的なデータを報告している研究を対象とした。著者らはナラティブレビューを行い、重要なテーマを特定して利用可能な文献の統合を行った。

結果:抽出された117件の研究のうち、17件が組み入れ基準を満たしていた。ほとんどの研究 (53%; n=9)は文化的能力に焦点を当てていたが、多くは多様な患者とのコミュニケーション (29%; n=5)または健康格差 (18%; n=3)に焦点を当てていた。SPトレーニングに関連するEDIのアプローチとして、多様性の描写 (71%; n=12)または多様性に支えられた学習目標 (29%; n=5)を採用した研究があった。「文化的能力の向上」「多様な患者との効果的なコミュニケーション」「健康上の不平等の強調」という3つの主要なテーマが浮かびあがった。

結論:本レビューでは、組織的アプローチの視点と優先順位を念頭に、EDIに基づくSPPsのアプローチを概説した。特定のEDI問題に関するSP教育が報告されている。しかし、SPPsによるEDIへのプログラム的アプローチは不足している。健康科学教育におけるEDIベースのSPPsを開発・実施するうえでの課題、効果、成果についてのさらなるエビデンスを得るためには、さらなる研究が必要である。