医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

How Are the Arts and Humanities Used in Medical Education? Results of a Scoping Review (Acad Med 2021)

Moniz T, Golafshani M, Gaspar CM, Adams NE, Haidet P, Sukhera J, Volpe RL, de Boer C, Lingard L. How Are the Arts and Humanities Used in Medical Education? Results of a Scoping Review. Acad Med. 2021 Apr 6. Epub ahead of print.

背景:医学教育における芸術・人文科学に関する文献の一部に焦点を当てたレビューが行われてきたが、医学におけるこれらのアプローチを強化するための情報を提供するためには、この分野の大規模な概観が必要である。

方法:筆者らは2019年に、カナダと米国における医学教育の一連の流れのなかで、医師や専門家間の学習者を教育するために芸術と人文科学がどのように利用されているかを明らかにするために、スコーピングレビューを行った。7つのデータベースを含む検索戦略により、2万1,985件の引用を確認した。5人のレビューアーがタイトルと抄録を独立して審査した。その後、フルテキストのスクリーニングを行った (n = 4,649)。このうち、769件が組み入れ基準を満たした。筆者らは、記述的・統計的分析を行い、15人の関係者と半構造化インタビューを行った。

結果:文献は、芸術・人文科学的アプローチを批判的に扱った、あるいは一般的に医学教育への利用を呼びかけた概念的な作品 (n = 294)が多く、次いでプログラムの説明 (n = 255)が多かった。文芸作品 (n = 197)が最も多かった。理論を重視しているのは3分の1以下であった (n = 230)。記述的・実証的な記録 (n = 424)のうち、半数以上が卒前の医学教育に関するものであった (n = 245)。専門家間の教育 (多職種連携教育)、プログラム評価、学習者評価に関する文献にはギャップがあった。プログラミングは、その取り組みを公表している医学系教員が教えることが多かった (n = 236)。アーティスト、説明員 (docent)、その他の芸術・人文科学の分野で活躍する医学以外の人々の声は聞かれなかった。ステークホルダーは、これらの知見が彼らの経験と一致することを確認した。

結論:本文献の特徴は、短いエピソードで構成されていること、生物医学的な方向性が強調されていること、時間をかけて、また分野を超えて蓄積された大きな物語にエピソードを織り込むための理論的なフレームがほとんどないことである。これらの知見は、医学教育における芸術と人文科学の利用を促進し、統合し、研究するための取り組みに役立つはずである。