医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Patient-Present Teaching in the Clinic; Effect on Agency and Professional Behaviour (Med Educ 2021)

Cheema B, Li M, Ho D, Amari E, Buckley H, Canfield C, Cuncic C, Nimmon L, Van Enk A, Veerapen K, Wisener KM, Holmes CL. Patient-Present Teaching in the Clinic; Effect on Agency and Professional Behaviour. Med Educ. 2021 Aug 25. Epub ahead of print.

背景:医学的学習環境については多くのことが書かれているが、ケアの中心である患者がこの文献の中で焦点を当てられることはほとんどない。本研究の目的は、学習者、アテンディング、そして最も重要な患者の立場から、医療学習環境におけるエージェンシーを持つ能動的な参加者としての患者の役割を探ることであった。我々は、患者が存在する学習環境において、患者を中心とした敬意に満ちた行動などの専門的価値を強化することができるメカニズムについての洞察を得ることを期待した。

方法:本研究は、外来の内科クリニックにおいて、「患者同席型」 (patient-present)の診療を行った。case presentationはすべて患者と一緒に診察室で行った。参加者(アテンディング、卒前・卒後の学習者、患者、家族)を募り、各診療後に半構造化インタビューを行い、患者同席型学習環境の影響を探った。その結果、アテンディング10名、学習者12名、患者10名、家族2名の計34名が参加した。エージェンシーの概念的枠組みを用いて、データを演繹的に分析した。

結果:我々は3つの主要な知見を得た。1. 患者は参加していると感じ、意見を聞かれる機会を大切にしていた。 2. アテンディングと学習者は、より尊重された学習環境と、挑戦的ではあるが肯定的な教育・学習体験を報告した。 3. プロフェッショナルな行動に対するパフォーマンスベースの見解の中に、隠れたカリキュラムが存在していた。

結論:患者同席型の教育は、患者を医療現場の中心に据え直すことで、患者を巻き込み、患者の主体性を高めた。我々は、パフォーマンスと学習の間の緊張を確認した。本研究は、医学教育と学習環境のすべての参加者の視点から、患者中心主義とプロフェッショナリズムの概念に新たな洞察を加えた。