医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

How organizational culture influences holistic review: a qualitative multiple case study (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2021)

Coplan B, Evans BC. How organizational culture influences holistic review: a qualitative multiple case study. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2021 Jun 12. Epub ahead of print.

背景:主に単一の医療専門職プログラムを対象とした研究では、入学試験における全体的な審査 (holistic review)によって、入学した学生の中のunderrepresented minority (URM)の割合が増加することが示唆されている。しかし、全体的な審査が広く行われているにもかかわらず、多くの医療専門職におけるURMの全体的な割合はほとんど改善されていないというデータは、全体的な審査を行っているプログラムのうち、underrepresentedなマイノリティを相当の割合で入学させているプログラムが比較的少ないことを示唆している。それゆえ、多様な学生の入学を成功させるための全体的な審査の実践を促進する要因を理解するためには、さらなる研究が必要である。文献によると、全体的な審査を効果的に行うためには、支持的な組織文化が必要であることが示唆されているが、文化が入学試験に与える影響については直接研究されていない。本研究では、多様性と包括性を重んじる文化(「多様性文化」)が、2つの医師アシスタント教育プログラムの全体的な審査に与える影響について、質的な複数事例研究の手法を用いて、検討した。この2つの教育プログラムは、多様性文化と全体的な入学試験を結びつける概念的なフレームワークを提案しており、(他の類似したプログラムと比較して)URMの学生の入学率が高いという基準を満たしていた。

方法:2018年から2019年の入学サイクルにおいて、各プログラムで複数のソースからデータが収集され、概念的枠組みから導き出されたコーディングマニュアルにより、プログラムの類似点と相違点のdirected content analysisと比較が指示された。

結果/結論:概念的枠組みと一致して、多様なクラスの学生を入学させるための包括的な入学試験の実践には、多様性のある文化が強く影響しているように見受けられた。さらに、URM教員の「多様性のためのチャンピオン」が入学試験に強い影響を与えていることなど、今後の検証課題となりそうな知見が得られた。