医学教育研究者・総合診療医のブログ

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A discourse analysis of General Medical Council (GMC) guidelines for the inclusion of cultural diversity issues in medical education and practice (Med Teach 2022)

Elsas Parish B, Dogra N, George RE. A discourse analysis of General Medical Council (GMC) guidelines for the inclusion of cultural diversity issues in medical education and practice. Med Teach. 2022 Jan 17:1-9. Epub ahead of print.

背景:いくつかの研究により、メディカルスクールのカリキュラムに文化的多様性が十分に盛りこまれていないこと、またCOVID-19の流行により健康格差の程度が浮き彫りになっていることが明らかになっている。最近の研究によると、医師が多様な人々に対応する準備が不十分であることから、本研究はGMCの出版物を批判的に検討し、ガイドラインに文化的多様性のトピックが含まれているかどうかを確認することを目的としたものである。

方法:24の関連するGMCの出版物を分析した。ガイドラインの内容を検討するために帰納的テーマ分析を行い、文化的・社会的背景を考慮しながら使用されている言語を批判的に理解するために談話分析 (discourse analysis)を使用した。

結果:GMCの出版物は、主に差別の撤廃と平等の推進に焦点をあてていた。医療行為における多様性をめぐるテーマは、あまり取りあげられていない。また、各ガイドラインの内部にはかなりの矛盾があった。メディカルスクールや医学生を対象としたガイドラインは、医師を対象としたものに比べ、文化的多様性の問題を考慮する傾向が強かった。

結論:文化的多様性の教育は、それを推進するポリシーによってのみ効果的になり得る。GMCガイドラインに文化的多様性の問題が含まれているにもかかわらず、本研究は、これらの問題がどのように表現され理解されているのかについて、かなりの曖昧さを示唆している。ガイドラインは慎重に改訂され、様々な解釈がなされる可能性を減らすように書かれるべきであり、それによってメディカルスクールのカリキュラムに文化的多様性をよりよく取りいれ、その結果としてよりよい患者ケアを促進することができる。