医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Advancing careers in medical education: 'Practice architectures' for success in a resource-constrained setting (Med Teach 2021)

Olupeliyawa AM, Hu WCY, Stalmeijer RE. Advancing careers in medical education: 'Practice architectures' for success in a resource-constrained setting. Med Teach. 2021 Jun 1:1-5. Epub ahead of print.

背景:医学教育におけるキャリアの向上は、世界中で課題となっているが、資源に制約のある状況 (resource-constrained context)では十分な研究が行われていない。本研究では、実践アーキテクチャー理論 (Theory of Practice Architectures; TPA)を概念的なレンズとして用い、資源の乏しい国における医学教育のキャリアの出現とその後の発展について調査した。

方法:スリランカの9つのメディカルスクールと1つの大学院から選ばれた14名のキャリア初期で第一線で活躍する医学教育者 (medical educator)を合目的的に抽出し、半構造化質的インタビューを実施した。テーマ分析は、TPAの3つの概念的レンズを用いて行った。すなわち、言説的-文化的 (discursive-cultural)、物質的-経済的 (material-economic)、社会的-政治的 (socio-political)である。

結果:3つのテーマが明らかになった。すなわち、キャリア構築のための言説としてのファカルティ・ディベロップメント(言説的-文化的)、臨床医学の専門分野と同等の医学教育の専門性を持つ人材の育成に焦点を当てたリーダーシップ(物質的-経済的)、ファカルティ・ディベロップメントの活動から生まれた医療専門職教育における協力的なプロフェッショナル・ネットワーク(社会的-政治的)である。

結論:TPAを用いた調査の結果、ファカルティ・ディベロップメントは、医学教育におけるアカデミック・キャリアを促進するための強力な言説を育む可能性があることが明らかになった。医学教育のリーダーは、医学教育の正式なトレーニングプログラムを確立することで重要な役割を果たすことができる。また、協力的な専門家ネットワークは、特に参加者が卒前から卒後までの連続したトレーニングの間に機関や医療専門家の間で専門知識やリソースを共有する場合、医学教育のキャリアの可視性を向上させることができる。また、TPAは、文化的、物質的-経済的、社会的-政治的な要因が、資源が限られているかどうかにかかわらず、さまざまな状況下でキャリア開発をどのように促進したり妨げたりするかを理解するためにも使用することができる。