医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A narrative inquiry into non-Indigenous medical educators and leaders participation in reconcilatory work (Med Educ 2024)

Burm S, Dean L, Alcock D, LaDonna KA, Watling CJ, Bishop L. A narrative inquiry into non-Indigenous medical educators and leaders participation in reconcilatory work. Med Educ. 2024 Feb 22. Epub ahead of print.

背景:世界的に、メディカルスクールは先住民の健康格差に対処するための方針とプログラムを運用している。進展は見られるものの、課題も残っている。この研究が実施されたカナダでは、メディカルスクールにおける先住民の割合は依然として低く、少数の先住民擁護者が前例のないレベルの公平性関連活動を主導しているが、多くの場合、リソースは不十分である。医学教育において必要とされる変革は、先住民の肩だけにかかるものではなく、非先住民も関与しなければならない。本研究は、継続的な関与の促進要因と障壁を慎重に考慮しながら、この作業に従事している人々の進路をよりよく理解することを目的としている。

方法:データの収集と分析は、ニュアンスを明らかにし、内省を促すためにストーリーテリングに依存する方法論であるnarrative inquiryによって行われた。本論文では、カナダの非先住民の医学教育者および指導者(n = 10)から収集したインタビューデータに焦点を当てる。参加者のキャリアステージは様々であり(キャリア初期から後期まで)、臨床、管理、教育の役割が混在していた。

結果:和解活動への参加は、参加者それぞれにユニークなものであったが、彼らの参加を促した共通の要因が確認された。多くの場合、彼らの参加は管理業務に結びついたものであったり、学術・医療の両分野において先住民が背負っている制度的不平等に直面せざるを得なかった職務上の経験によって推進されたものであったりした。なかには、先住民の和解における自分の適切な役割を理解するのに苦労していることを認める者もおり、彼らの参加はしばしば確固とした支持なしに進められた。

結論:メディカルスクールは、非先住民を含む教員が、先住民の健康に関する社会的説明責任 (social accountability)を果たすことができるようにする義務がある。我々の知見は、この公平な仕事に内在する緊張感について、より良い理解を生み出すものである。我々は、先住民の和解における自らの役割を振り返るよう他の人々に促す。そうでなければ、メディカルスクールは個人的、組織的進歩の誤った感覚を生み出す危険性がある。