医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Motivators and barriers for rural community preceptors in teaching: A qualitative study (Med Educ 2023)

Alexandraki I, Kern A, Beck Dallaghan GL, Baker R, Seegmiller J. Motivators and barriers for rural community preceptors in teaching: A qualitative study. Med Educ. 2023 Nov 29. Epub ahead of print.

背景:地域に根ざした指導医(例えば、地域プリセプター)の確保と維持がますます困難になっていることから、地域プリセプターが指導の役割を果たす際に感じる動機付けや障壁について理解を深めることが求められている。メディカルスクールと地域に根ざした学生研修施設との連携が重要であることを考えると、地方などメディカルスクールから離れた環境における教育医としての地域プリセプターの視点や、診療を行いながら教育に携わるという彼らのキャリア選択に影響を与える要因を理解することが不可欠である。

方法:農村地域のプリセプターを対象に半構造化面接を行い、オープンコーディングでデータを概念化し、アキシャルコーディングでコードをカテゴリーにつなげた。社会認知的キャリア理論の枠組みを用いて、カテゴリーをテーマに整理した。

結果:2つのメディカルスクールから11人の農村地域プリセプターが参加した。専門は家庭医療、内科、小児科で、臨床経験は3~36年、教育経験は2~29年であった。プリセプターが教えることを決意するうえで、教えることへの準備(「自己効力感」)は極めて重要であり、その主な理由は、メディカルスクールや研修医時代の指導医から身をもって学んだこと、臨床パートナーからの社会的説得や励まし、実践医としての実績などであった。しかし、ファカルティ・ディベロップメントの制限、期待されることについての不完全な知識、メディカルスクールからの離脱、現在の指導者の不足などが、彼らの自信の妨げとなった。教えることは、専門職に還元したいという彼らの願望(「アウトカムへの期待」)を満たすものであったが、彼らは過小評価され、他の臨床医教育者から切り離されていると感じていた。教えることは仕事の満足度を高めるが、臨床の仕事量と経済的な影響が、卓越した業績('performance')を達成するという彼らの目標を妨げていた。

結論:自己効力感は、農村地域のプリセプターが教えることを決意するうえで極めて重要な動機付けであった。研修早期のロールモデルが教える意欲をかきたてた。内部表彰が教える努力を支えていた。今後の研究では、農村地域のプリセプターの教育経験に影響する構造的障壁を調査し、彼らが医学教育者になるキャリア選択をよりよく支援する必要がある。