医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The Effect of a Medical Student on Community Preceptor Productivity (Med Educ 2022)

Hatfield J, Neal G, Isbell T, Dickey D. The Effect of a Medical Student on Community Preceptor Productivity. Med Educ. 2022 Jan 14. Epub ahead of print.

背景:医学生が大学ベースの医療機関だけでなく、地域ベースの病院やクリニックで教育を受ける機会が増えており、プリセプターの生産性の低下を補うために、メディカルスクールが医療機関にお金を払って学生のプリセプターを認めるべきかどうかという問題に持続的に関心が持たれている。本研究は、医学生がプリセプターの生産性に及ぼす影響を調査することで、このテーマに情報を提供することを目的とした。

方法:外来プライマリケア医17名の7ヶ月間、38,205人の患者診察におけるプリセプターの生産性と時間効率に関するレトロスペクティブデータを分析した。その後、同じ医師を対象に、医学生のプリセプターが彼らの生産性にどのような影響を与えたと考えるかについて調査を行った。

結果:レトロスペクティブなデータ解析の結果、学生を同行させた場合、医師は半日あたり若干多くの患者を診察していることがわかった。調査では、半日あたりの患者数は学生同伴でも同数であったが、診療に費やした時間は学生同伴の方が長かったと報告されている。また、学生がカルテに記録することで、勤務時間が長くなることを軽減・相殺できることが多いことも報告された。

結論:医学生は半日あたりの診察患者数を増やすことも、変えないこともあるが、プリセプターが1日に診療に費やす時間を増やしうる。一般に、医師は教育促進や教える喜びのために、この時間の増加を受容している。これらの知見は、メディカルスクールや医療機関が地域ベースのプライマリーケアクリニックにおけるプリセプターシップの金銭的取り決めを交渉する際に役立つと思われる。特に、これらの知見は、医学生のプリセプターシップがプリセプターの生産性という点で、病院組織にコストをかけないことを示唆している。