医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Brief online implicit bias education increases bias awareness among clinical teaching faculty (Med Educ Online 2022)

Sabin J, Guenther G, Ornelas IJ, Patterson DG, Andrilla CHA, Morales L, Gurjal K, Frogner BK. Brief online implicit bias education increases bias awareness among clinical teaching faculty. Med Educ Online. 2022;27:2025307.

背景:医療従事者の暗黙の偏見 (implicit bias)は、学習環境や患者ケアに影響を及ぼす。偏見認知は、暗黙の偏見教育に含まれるべき重要な要素の1つである。偏見認知を高める教育についての研究は限られている。偏見認知は行動変容の動機づけとなる。本研究の目的は、簡単なオンラインコース「臨床・学習環境における暗黙の偏見」に触れることで、偏見認知が高まるかどうかを評価することである。

方法:コースには、医療における人種差別の歴史、健康の社会的決定要因、医療における暗黙の偏見、および臨床ケアと教育における暗黙の偏見の影響を軽減するための戦略が含まれていた。2019年8月から12月にかけて、米国のアカデミックな家庭医療、内科医療、救急医療従事者のサンプルを研究に採用した。プロバイダーの暗黙的および明示的偏見、個人および診療の特性、および事前-事後の偏見認知に関する測定値を収集した。

結果:111名の参加者のうち、78名(70%)が女性、81名(73%)が白人、63名(57%)がMDであった。医師は、人種IATで中程度の暗黙のpro-Whiteバイアス(Cohenのd = 0.68)を、ジェンダー・キャリアIATで女性よりも男性を「キャリア」に関連づける強い暗黙のステレオタイプ(Cohenのd = 1.15)を有していた。全体として、明示的な人種バイアスを持たなかった(Cohen's d = 0.05)。中程度の男性-キャリアステレオタイプ(Cohenのd = 0.68)および強い女性-家族ステレオタイプ(Cohenのd = 0.83)を報告した。コース受講後、統計的に有意な偏見認知の向上が認められた(p = 0.03)。提供者の暗黙的・明示的な偏見や個人・診療特性は、偏見意識の向上と関連はなかった。

結論:暗黙的偏見教育は、提供者の暗黙的・明示的偏見の強さや個人的・実践的特性に関わらず、提供者の偏見認知を高めるために効果的である。偏見意識の向上は、前向きな学習環境とより公平な医療システムの構築に向けた多くのステップのうちの1つである。