医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Relationship between self-reported cognitive and behavioural empathy among medical students (Patient Educ Couns 2021)

Klöckner CC, Gerbase MW, Nendaz M, Baroffio A, Junod NP. Relationship between self-reported cognitive and behavioural empathy among medical students. Patient Educ Couns. 2021 Aug 2:S0738-3991(21)00514-0. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、医学生の認知的共感性 (cognitive empathy)と行動的共感性 (behavioural empathy)の関係を探ることである。

方法:自己報告式のJefferson Scale of Empathy (JSE-S)の得点に基づいて募集したメディカルスクール4年生14名を、JSE-S低得点者 (n = 8) (M = 96.75, SD = 10.3)とJSE-S高得点者 (n = 6) (M = 121.3, SD = 2.94)の2群に分けた。学生たちは、模擬患者の病歴を聴取しているところをビデオで撮影された。学生の行動的共感性は、Verona Coding System (VR-CoDES-P)と非言語的行動の評価を用いて測定した。

結果:患者は両グループとも1回の診察で同じ数の懸念を表明したが、高得点者にはより多くの手がかりを与えた (p = 0.029)。しかし、両グループの学生は、同じ量の言葉による共感を示した (高:16% vs 低:15%, p = 1.00)。JSE-S高得点者の非言語的コミュニケーションは、JSE-S低得点者に比べて、顔の表情をより多く使うことで、わずかに高く評価される傾向があった (p = 0.008)。

結論:本研究では、JSE-Sの低得点者と高得点者の間で、患者の手がかりや心配事に対する学生の言葉による共感に違いは見られなかった。VR-CoDES_Pは、医学生や医師の共感行動を評価するための有用なツールであり、共感の異なる要素を分離することができる。