Gill AC, Zhou Y, Greely JT, Beasley AD, Purkiss J, Juneja M. Longitudinal outcomes one year following implicit bias training in medical students. Med Teach. 2022 Jan 12:1-8. Epub ahead of print.
背景:暗黙の偏見 (implicit bias)に関するトレーニングは、医学教育において重要であることが広く認識されており、いくつかの認定機関によって義務付けられている。本研究では、医学生が暗黙の偏見ワークショップに参加した直後と1年後の概念の保持について検討した。
方法:研究対象は、2018~2020年に開催された、暗黙の連想テスト(Implicit Associations Test; IAT)を小グループでの議論のトリガーとして用いるワークショップに参加した、医学生3年生272名である。ワークショップ参加前、参加後、1年後の暗黙の偏見に対する意識を把握するためのアンケートを作成し、学生に実施した。反復測定分析および独立標本t検定を用いて、7つの調査項目のそれぞれと、これら7項目の平均値を集計し、回答の差異を検討した。
結果:反復測定分析で調べた7つの調査項目のうち6項目と、集計した7項目の平均値は、事前、事後、1年後の調査間で統計的に有意な増加を示し(ps range: 0.01-0.07)、その効果量は小から中程度(ƞp2s range: 0.01-0.07)であった。これら3つの調査結果を一対一で比較したところ、ワークショップ前と後の調査では統計的に有意な改善が見られたが(ps range: 0.01-0.03 )、ワークショップ後と1年後の調査では統計的に有意な違いは見られなかった(ps range: 0.57-0.99 )。また、ワークショップの2年後に1年後調査を受けたオフサイクル学生17名のサンプルは、1年後調査の7項目について2群独立t検定で調べたところ、1年後の同調査を受けた者と偏見の自覚度について統計的に差がなかった(ps range: 0.56-0.99 )。
結論:暗黙の偏見ワークショップで得た知識や態度の1年後の保持を支持し、2年後も同様の保持を示唆する結果が得られた。今後、臨床現場での暗黙的・顕在的行動を認識し管理するための教育的介入が必要である。