医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Digital competencies for Singapore's national medical school curriculum: a qualitative study (Med Educ Online 2023)

Zainal H, Xiaohui X, Thumboo J, Kok Yong F. Digital competencies for Singapore's national medical school curriculum: a qualitative study. Med Educ Online. 2023;28:2211820.

背景:医学生に適切なデジタルコンピテンシーを身につけさせる国家レベルの取り組みが、多くのメリットをもたらすことは、これまでの研究で明らかになっている。しかし、メディカルスクールのカリキュラムの中核となる臨床実習のためのコンピテンシーを概説している国はほとんどない。本論文では、シンガポールの3つの医学部の正式なカリキュラムにおいて、学生が必要とするデジタルコンピテンシーについて、臨床教育者と機関指導者の視点から、国家レベルでの現在のトレーニングギャップを明らかにする。また、これらのデジタルコンピテンシーのトレーニングのための標準化された学習目標を実施しようとする国にとって、示唆に富むものである。

方法:調査結果は、19人の臨床教育者と地元メディカルスクールのリーダーとの綿密なインタビューから導き出された。参加者は、合目的的サンプリングで募集した。データは、質的なテーマ分析によって解釈された。参加者のうち13人は臨床教育者であり、6人はシンガポールの3つのメディカルスクールのうちの1つの学長または教育副学部長であった。

結果:各校はいくつかの関連コースを導入しているが、それらは全国的に標準化されていない。さらに、デジタルコンピテンシーのトレーニングにおいて、大学のニッチな分野は活用されていない。すべての学校の参加者は、デジタルヘルス、データ管理、デジタル技術の原則の適用について、より正式なトレーニングが必要であることを認めた。また、学生が必要とするコンピテンシーを決定する際には、住民の医療ニーズ、患者安全、デジタルヘルスケア技術の活用における安全な手順が優先されるべきであると参加者は指摘している。さらに、参加者は、メディカルスクール間の連携を強化し、現在のカリキュラムと臨床実践をより強く結びつける必要性を強調した。


結論:今回の調査結果では、教育資源や専門知識の共有において、メディカルスクール間の連携を強化する必要性が強調された。さらに、医学教育と医療制度の目標や成果を一致させるために、専門機関や医療制度とのより強い協力関係を構築することが必要である。