医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Shame at the Gates of Medicine: A Hermeneutic Exploration of Premedical Students' Experiences of Shame (Acad Med 2023)

Bynum WE 4th, Jackson JA, Varpio L, Teunissen PW. Shame at the Gates of Medicine: A Hermeneutic Exploration of Premedical Students' Experiences of Shame. Acad Med. 2023 Jan 16. Epub ahead of print.

背景:メディカルスクール入学を目指す学生の恥 (shame)は、研修中のwell-beingやプロフェッショナル・アイデンティティ形成に影響を与える可能性があるにもかかわらず、その性質についてはほとんど知られていない。本研究では、解釈学的現象学を用いて、「メディカルスクール進学を目指す学生はどのように恥を経験するのか」を問うた。

方法:2020年9月から2021年3月にかけて、筆者らは米国の生物医学修士課程からメディカルスクールへの出願を予定している学生12名を募集した。データ収集は、各参加者がメディカルスクール前研修中の恥体験を描いた「リッチピクチャー」の作成、この恥体験と他の恥体験を深く掘り下げる半構造化インタビュー、およびディブリーフィングセッションで構成された。データは、Ajjawi and Higgsの解釈学的分析の6ステップを使用して分析された。

結果:自己概念は、個人のアイデンティティと自尊心の偶発性から構成され、参加者の恥体験の中心であった。過去と未来の自己概念の合流、外的要因や期待の重さの影響により、恥はしばしば参加者の現在の自己概念を不安定にした。この不安定化は、出願過程(医学部入学試験の再受験)、対人関係(保健指導担当者との面談)、客観的な成績(成績、試験の点数)に関連する出来事によって生じた。参加者は、自己概念の安定化を図ることで、特定のアイデンティティ過程と自己概念の形成が促進された。

結論:恥は、学生がメディカルスクール進学を試みる際の感情的な経験、アイデンティティのプロセス、イデオロギーを知るための窓となった。著者らは、自尊心の偶発性の中心的役割、研修生における成果主義的自尊心の潜在的起源、恥反応に関わるアイデンティティ交渉とアイデンティティ・ワークについて論じている。彼らは、プロフェッショナル・アイデンティティ形成に関する現在の概念化において自尊心の偶発性を採用すること、メディカルスクール入学前の学習者における恥の性質について教員や保健指導員を訓練すること、有害な恥を引き起こすかもしれない標準化試験の結果的妥当性について検討することを呼びかけている。