医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Navigating the burden of proof and responsibility: A narrative inquiry into Indigenous medical learners' experiences (Med Educ 2022)

Burm S, Deagle S, Watling CJ, Wylie L, Alcock D. Navigating the burden of proof and responsibility: A narrative inquiry into Indigenous medical learners' experiences. Med Educ. 2022 Dec 10. Epub ahead of print.

背景:多くのメディカルスクールでは、先住民の医療人材育成を支援するために、入学経路やプログラムが確立されている。理想的には、これらの取り組みは、高い資質を持つ先住民志願者の獲得に貢献し、その結果、先住民にとって利用しやすく質の高い医療を向上させることができるはずである。しかし、先住民の学習者の経験を理解することなく、これらのアプローチを発展させ、調整することは困難である。本論文では、カナダの状況に焦点を当て、先住民学習者の医学研修に向けた道のりや研修中のエピソードを紹介する。

方法:データ収集と分析を通じて、ナラティブ・インクワイアリーの概念的基盤と先住民の方法論の主要原則が活用された。参加者は、カナダのある医科大学の先住民学習者(医学生とレジデント)および最近卒業した医師(n = 5)であった。参加者の経験を意味づけるために、話し言葉(正式なインタビュー記録)と視覚的なテキスト(写真)の両方が使用された。

結果:参加者は、メディカルスクール入学準備、卒前医学研修卒業、専門医選択の3つの時点で、医学教育への移行とその過程における体験に大きな共通点を見出した。参加者の話からは、先住民としてのアイデンティティと医学研修生としてのアイデンティティの間で綱引きが起きていることが明らかになった。こうした緊張は、時に先住民や学術界における帰属意識を損ない、肩身の狭い思いをさせることがあった。

結論:医療従事者における先住民の有意義な代表は、医療従事者をさらに養成すること以上に、先住民の学習者や卒業したばかりの医師が医療専門職に就き、その道を歩む際の経験を理解することが必要である。彼らの声を増幅させることで、私たちは、先住民の医療専門職への採用と定着に寄与し、それを妨げる可能性のある要因について、より全体的な表現を得る立場に立つ。