医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Exercising power in the self-management of COPD: A narrative inquiry. Patient and user perspectives (Patient Educ Couns 2023)

Delaney S, Huntley-Moore S, Cronin P. Exercising power in the self-management of COPD: A narrative inquiry. Patient and user perspectives. Patient Educ Couns. 2023 Oct 10;118:107990. Epub ahead of print.

背景:本研究の目的は、COPD患者が病気の自己管理においてどのように力を発揮しているのかについて深く理解することである。

方法:フーコーの権力、知識、エージェンシーの概念を概念的枠組みとして用いたナラティブ・インタビューを行った。アイルランド共和国COPD患者31名を対象に、最大3回の非構造化インタビューを行った。データの分析にはthematic template analysisを用いた。この質的研究の報告にはCOREQチェックリストを用いた。

結果:研究の結果、参加者は主に2つの方法でagencyを動員することで権力を行使した。彼らはさまざまなタイプの知識を活用することで、権力の押しつけに抵抗した。また、幸福と健康を達成するために、自己と身体に働きかけることを目的とした実践を行った。しかしこのエージェンシーは、医療専門家による権力の押し付けによって制約されていた。

結論:この知見は、COPD患者が自らの知識とエージェンシーを用いて交渉し構築する複雑で多次元的な概念としてのセルフマネジメントの理解を広げるものである。COPD患者が自己管理のために動員する多大なスキルと資源を尊重することが、患者中心の自己管理支援の中心となるべきである。