医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Identifying characteristics of a skilled communicator in the clinical encounter (Med Educ 2022)

Michelle V, Esther G, van den Valerie E, Marscha L, van der Trudy W, de Anique B, Timmerman A. Identifying characteristics of a skilled communicator in the clinical encounter. Med Educ. 2022 Oct 12. Epub ahead of print.

背景:医療コミュニケーション研究において、'communication skills'から'skilled communication'へと移行しつつあり、後者は実際の臨床状況に合わせた柔軟性と創造性の育成を意味する。しかし、skilled communicationとはどのようなものであるのか、現状ではコンセンサスが得られていない。そこで、本研究では、skilled communicatorの特徴を明らかにし、コミュニケーション研究の理論構築と医療研修に資することを目的とする。

方法:2020年、GP研修プログラムにおいて、医師と患者のコミュニケーションに関する経験や専門知識を有する34名の関係者(GP、GPレジデント、教員、研究者)が参加する6回のNominal Group Technique(NGT)セッションが実施された。各NGTセッションの参加者は、skilled communicatorの特徴として「トップ7」を順位付けした。NGTセッションのアウトプットは、記述統計学とthematic content analysisを含む混合法を用いて、反復プロセスで分析された。

結果:6回のセッションのランキングは、合計191項目で構成され、41のクラスターに整理された。41のクラスターをthematic content analysisした結果、skilled communicatorの特徴を示す9つのテーマが明らかになった:(A) 患者に敏感で適応的、(B) 対人コミュニケーションの応用に熟達している、(C) 自己認識、学習能力、反省能力、(D) 真の意味で興味を持っている、(E) 患者中心のコミュニケーションに熟達している、(F) 目標指向コミュニケーション、(G) 本物指向、(H) アクティブリスニング、(I) 患者と協働する。

結論:本研究で明らかになった特徴をもとに、医療研修における学習を支援するためのskilled communicationアプローチを概念化した。概念モデルでは、コミュニケーションにおける適応的な専門性を身につけるためには、(1)感受性を高めコミュニケーションを患者に合わせること、(2)自己認識と反省能力の観点からコミュニケーションパフォーマンスを監視すること、という2つの並行プロセスが鍵となる。識別された特徴と概念モデルは、学習者中心のプログラムを開発し、反復練習と内省を促進するための基盤を提供するものである。今後、職場学習において学習者が熟練したコミュニケーターになるために、どのように最適な支援を行うことができるかを調査する必要がある。