医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Learning experiences of adaptive experts: a reflexive thematic analysis (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Kua J, Teo W, Lim WS. Learning experiences of adaptive experts: a reflexive thematic analysis. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Jan 10. Epub ahead of print.

背景:適応的熟達者 (adaptive experts)は学習に対する信念や態度をよく研究しているが、学習環境の中で起こる相互作用が彼らの学習体験を構成していることは不明である。老年医学の実践は、複雑で脆弱な高齢者の集学的ケアを重視する。本研究は、老年医学における適応的熟達者の学習経験を理解することを目的とし、個人内 (intra-personal)、個人間 (inter-personal)、組織 (organisational)レベルでの相互作用が適応的熟達性の発達にどのように寄与しているかを検討した。

方法:我々は、シンガポールの三次病院に勤務する16名の老年医学専門家を対象に、半構造化面接による探索的質的研究を行った。データは反射的テーマ分析によって分析された。

結果:学習経験の核となるエッセンスは、「知らないときに知る」('knowing when we do not know')旅と表現され、それは3つのテーマによって特徴づけられた。(i)人間中心のケアというエートス(専門家がその価値観に基づいて、医学的領域を超えた患者の全体的な見方を発展させること)を支えること、(ii)好奇心を持つというスタンス(専門家が内省の実践を通して、また商品としての時間や専門知識の発展のために、好奇心と学習への開放性が育まれたこと)を可能にすること、(iii)探究という組織的文化の足場づくり(学習を支援する環境が心理的安全性とメンタリングの文化に基づいて構築されていること)、であった。

結論:以上のことから、本研究は、適応的熟達者の学習経験において、個人内、個人間、組織レベルでの相互作用が重要であることを明らかにした。