医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Feasibility and acceptability of virtually coaching residents on communication skills: a pilot study (BMC Med Educ 2021)

Sasnal M, Miller-Kuhlmann R, Merrell SB, Beres S, Kipp L, Lee S, Threlkeld Z, Nassar AK, Gold CA. Feasibility and acceptability of virtually coaching residents on communication skills: a pilot study. BMC Med Educ. 2021;21:513.

背景:コミュニケーションスキルの向上は、レジデントにとって重要なコンピテンシーである。コーチングは医学教育におけるトレーニング方法の一つとして広く受け入れられており、コミュニケーションスキルを教えるツールとして成功していることが証明されている。しかし、遠隔医療におけるコミュニケーションスキルの向上を目的としたバーチャルコーチングについては、これまでほとんど研究されていない。本研究の目的は、レジデントに対するコミュニケーションスキルのバーチャルコーチングが実現可能であり、受け入れられるという仮説を検証することである。「完全バーチャル」のコーチングセッション(患者、コーチ、レジデントがバーチャル)に参加したレジデントと教員のペア21組を対象に調査を行った。

方法:2020年5月20日から8月31日の間に、50組の神経学の研修医と教員のコーチペアに、「完全バーチャル」のコーチングセッションを1回行ってもらった。各セッションの後、レジデントとコーチは、実現可能性と受容性を評価するために、リッカートスタイルのスケールと自由形式の質問を含む15項目のアンケートに回答した。記述統計学、質的内容分析・テーマ分析を行った。

結果:対象となるレジデントの42%(21/50)が「完全バーチャル」のコーチングセッションを完了した。全体のアンケート回答率は91%(38/42)であった。回答者の大部分は、直接観察と報告の会話は予定が立てやすく、技術的な問題もなく行われたこと、報告の要素(自己反省、フィードバック、収穫)はレジデントにとって有用であったことに同意した。回答者の95%が、コーチのバーチャルな存在は、レジデントと患者の交流をまったく妨げないと評価した。バーチャルコーチングは、観察に伴うレジデントのストレスを軽減し、すぐにフィードバックが得られる機会であり、今後も続くであろうレジデント教育のユニークなアプローチであると認識された。

結論:このパイロット研究では、レジデントと教員コーチは、コミュニケーションスキルに関するバーチャルコーチングが実現可能であり、遠隔医療での診療に受け入れられると考えた。我々の介入の多くの要素は、他のレジデントプログラムでも採用可能である。例えば、レジデントはクリニックの指導医とコミュニケーションの目標を共有し、その指導医にバーチャル診療を直接観察してもらうことで、レジデントの目標に関連した的を絞ったフィードバックを促進することができる。さらに、対面診療と遠隔診療の両方でコミュニケーションスキルのバーチャルコーチングを行うことで、認知障害のある患者や代理意思決定者とのコミュニケーションなど、困難な状況にあるレジデントにとって特に有益であると考えられる。