医学教育研究者・総合診療医のブログ

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The Supply of Surgical Specialists and Subspecialists to the U.S. Medicare Population: National Trends From 2013 to 2019 (Acad Med 2024)

Talbott J, Khurana A, Wasson M. The Supply of Surgical Specialists and Subspecialists to the U.S. Medicare Population: National Trends From 2013 to 2019. Acad Med. 2024 Feb 16. Epub ahead of print.

背景:米国の人口は急速に高齢化している。この需要に対応するために必要な外科医の供給量を評価する必要がある。本研究では、メディケア外科医の供給動向を専門分野別、米国の州・地域別に評価した。

方法:メディケア&メディケイドサービスセンター(Centers for Medicare & Medicaid Services)のウェブサイトに2013年から2019年まで掲載された、心臓胸部外科、大腸肛門外科、一般外科、婦人科腫瘍学、手外科、神経外科、産科婦人科、眼科、口腔顎顔面外科、整形外科、耳鼻咽喉科、形成・再建外科、外科腫瘍学、泌尿器科、血管外科の全国プロバイダー識別子(National Provider Identifier)に関連するすべての外科医を対象とした。医師の絶対数はメディケア受給者10万人当たりで調整した。年次変化は線形回帰モデルにより算出し、専門分野ごとに年平均成長率(CAGR)を算出した。

結果:受益者10万人当たりの医師の絶対数は、調査期間中に15の専門分野のうち6分野で増加した。血管外科の年間増加率が最も大きく(+0.23;CAGR、+2.75%)、産婦人科の年間減少率が最も大きかった(-1.08;CAGR、-1.44%)。外科腫瘍学はCAGRで最大のプラスを示した(+4.20%)。口腔外科と顎顔面外科の年平均成長率はマイナス幅が最も大きかった(-2.86%)。北東部は、各専門分野の供給において全国平均を上回っていた。中西部は、CAGRがプラスとなった専門分野が最も多かった。南部はどの専門分野においても全国平均を満たさなかった。

結論:15の外科専門分野についてのこの分析は、メディケア人口に対する医師不足の予測に重要な示唆を与えるものである。この研究では、専門分野によって地域差があることがわかったが、これは卒前医学教育のレベルから病院資源の提供まで、医療計画にとって重要な意味を持つ。全体として、すべての専門分野にわたる外科医の供給は、急速に高齢化する米国人口の需要を満たすには十分でない可能性がある。外科医がメディケアプログラムから離脱する理由を評価するためには、今後の研究が必要である。