医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Evaluating Educational Outcomes Using Patient Outcomes of New Surgeons Performing Partial Colectomy Compared to Cholecystectomy (Acad Med 2023)

George BC, Thelen AE, Howard RA, Kendrick DE, Chen X, Clark MJ, Gupta T, Brown CS, Bandeh-Ahmadi H, Luckoski JL, Wnuk GM, Fan Z, Krumm AE, Ryan AM, Buyske J, Mukherjee B, Dimick JB. Evaluating Educational Outcomes Using Patient Outcomes of New Surgeons Performing Partial Colectomy Compared to Cholecystectomy. Acad Med. 2023 Aug 1. Epub ahead of print.

背景:外科教育を改善するための努力が続けられているにもかかわらず、外科レジデントはトレーニングの格差に直面している。しかし、外科医のトレーニングの差が、実践後の外科医の患者アウトカムに反映されるかどうかは不明である。本研究では、トレーニングが限られている一般的な手技である大腸部分切除術と、トレーニングが充実している一般的な手技である胆嚢摘出術を行う新米外科医の患者アウトカムを比較することを目的とした。

方法:著者らは、2007~2018年に入院で大腸部分切除術および入院で胆嚢摘出術を受けた患者のすべての成人メディケア請求データをレトロスペクティブに分析した。一般化加法混合モデルを用いて、大腸部分切除術および胆嚢摘出術を受けた患者について、外科医の実践年数と30日重篤合併症および死亡のリスク調整率との関連を調査した。

結果:4,011病院の合計14,449人の外科医が、研究期間中に340,114例の大腸部分切除術と355,923例の胆嚢摘出術を入院患者に施行した。実践1年目による胆嚢部分切除術を受けた患者では、15年目の外科医による手術を受けた患者と比べて、重篤な合併症(5.22%[95%信頼区間4.85%~5.60%] vs 4.37%[95%信頼区間4.22%~4.52%];P < 0.01)および死亡(3.05%[95%信頼区間2.92%~3.17%] vs 2.83%[95%信頼区間2.75%~2.91%];P < 0.01)の発生率が高かった。実践1年目の外科医による胆嚢摘出術を受けた患者では、15年目の外科医による手術を受けた患者と比較しても、30日目の重篤な合併症(4.11% vs 3.89%;P = 0.11)および死亡(1.71% vs 1.70%;P = 0.93)の割合は同程度であった。

結論:大腸部分切除術を受けた患者は、経験豊富な外科医と比較して新米外科医が手術を行った場合、重篤な合併症と死亡のリスクが高かった。逆に、胆嚢摘出術後の患者の転帰は新人外科医と経験豊富な外科医で同程度であった。研修医研修中に大腸部分切除術にもっと注意を払うことが、患者のためになるかもしれない。