医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Patient handoffs among general surgery residents in Saudi Arabia: a cross-sectional study (BMC Med Educ 2022)

Saleem AM, Kadi M. Patient handoffs among general surgery residents in Saudi Arabia: a cross-sectional study. BMC Med Educ. 2022;22:626.

背景:コミュニケーション不全は有害事象の一般的な原因である。医療従事者間のコミュニケーションに不可欠な要素は、患者引き継ぎである。患者引き継ぎとは、医療従事者が患者の安全性とケアの継続性を確保するために、患者のケア情報を別の医療従事者に引き継ぐ行為と定義されている。この実践を探るため、我々はサウジアラビアの一般外科レジデントにおける患者引き継ぎを評価した。

方法:2020年から2021年にかけて、サウジアラビアの認定一般外科研修プログラムに所属する者を対象に横断的調査を実施した。

結果:参加者は一般外科レジデント118名であった。66名(57.3%)が女性、67名(72.8%)が患者引き継ぎに関する正式なトレーニングを受けていない、35名(38.8%)が患者引き継ぎプロセス中に中断されることがあると報告した。そのような割り込みの最も一般的な理由は、医療従事者のページングであった。さらに、60名(68.1%)の一般外科レジデントは、これらの割り込みが効果的なコミュニケーションの質の低下につながると考え、39名(44.3%)が患者ケアの質の低下につながると考え、63名(71.5%)が患者引き継ぎに関する何らかの情報の喪失につながると考え、16名(18.1%)が患者への被害につながると考えていることが明らかになった。最後に、一般外科レジデント31名(34.4%)は、所属施設の既存の引き継ぎシステムは患者の安全を適切に保護せず、ケアの継続を可能にしないと考え、51名(68%)は、所属施設に口頭による患者引き継ぎプロセスの標準化されたプロトコルがないと報告した。また、口頭または書面による患者引き渡し指示を受けなかった、ほとんど受けなかった、時々受けたレジデントでは、いつもまたはほとんど受けた研修医と比較して、minor harm患者の割合が高かった(それぞれ67% vs. 49%)。

結論:サウジアラビアの一般外科レジデントにおける患者引き継ぎプロセスは主観的であり、標準化されていないため、対処しなければ患者への危害につながる可能性がある。このプロセスを標準化することは、患者の安全性を向上させるために最も重要である。