医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Meaning making about performance: A comparison of two specialty feedback cultures (Med Educ 2023)

Bearman M, Ajjawi R, Castanelli D, Denniston C, Molloy E, Ward N, Watling C. Meaning making about performance: A comparison of two specialty feedback cultures. Med Educ. 2023 May 4. Epub ahead of print.

背景:専門 (specialty)研修生は、自分のパフォーマンスがどの程度なのかを理解するのに苦労することが多く、フィードバックはこの問題を解決する手段として一般的に考えられている。しかし、医学教育では、フィードバックは専門分野特有の文化的世界に位置するのではなく、acontextualなものとしてアプローチされる傾向がある。そこで本研究では、外科と集中治療医学(ICM)の専門研修生が、自分のパフォーマンスの質についてどのような意味を持つのか、またこのプロセスにおけるフィードバックの会話の役割について比較した。

方法:我々は、構成主義的グラウンデッド・セオリーの伝統に則った質的インタビュー研究を実施した。2020年にオーストラリア全土から集まった17人の研修生(ICMから8人、外科から9人)にインタビューを行い、データ収集と分析的な議論を繰り返した。オープンコーディング、フォーカスコーディング、アキシャルコーディング、セオリーコーディングを採用した。

結果:専門分野間で大きな相違があった。外科の研修生は指導医と直接仕事をする機会が多く、患者の転帰とケアの質との間に強い関連性があり、手術技術に関するパフォーマンス情報に焦点が当てられていた。ICMは不確実性の高い診療環境であり、患者転帰はパフォーマンス情報の源として信頼できず、パフォーマンス情報は拡散し、暗黙の感情的サポートも含まれていた。これらの異なる「専門的フィードバック文化」は、研修生がフィードバックの機会を組織化し、日々の患者ケア業務における自分のパフォーマンスを意味付け、経験やインプットを「つなぎ合わせて」全体的な進歩の感覚を進化させる方法に強く影響を及ぼした。

結論:我々は、パフォーマンスに関する意味付けは、2つのタイプがあることを確認した。第一に、患者ケアタスクにおける即時のパフォーマンスに対する研修生の理解、第二に不完全なパフォーマンス情報から全体的な進歩の感覚を「つなぎ合わせる」ことであった。本研究は、フィードバックのアプローチは、この2つに注意を払うだけでなく、複雑さを伴う専門医の文化的世界も考慮する必要があることを示唆している。特に、フィードバック会話は、パフォーマンス情報の質の変化や専門分野特有の不確実性のレベルをよりよく認識することができる。