医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Core procedural skills competencies and the maintenance of procedural skills for medical students: a Delphi study (BMC Med Educ 2022)

Green P, Edwards EJ, Tower M. Core procedural skills competencies and the maintenance of procedural skills for medical students: a Delphi study. BMC Med Educ. 2022;22:259.

背景:医学生がトレーニング中に特定の手技スキルを習得する必要があることはよく知られているが、これらのスキルにおいて達成すべきコンピテンシーのレベルや習得方法についての合意は議論中である。また、医学教育課程を横断しての手技能力の維持は考慮されていないことが多い。本研究の目的は、オーストラリアの医学生が必要とするコアな手技コンピテンシーを明らかにし、その能力維持の重要性を確立することであった。

方法:オーストラリアで卒業する医学生の手技スキルに関するコンセンサスを確認するために、3ラウンドのオンラインデルファイ法が用いられた。第1ラウンドでは、文献から特定された内容を用いて、最初の構造化質問票を作成した。回答者は、医学教育および医学生が手技を行う際に関わる多部門の臨床家を代表する36名の専門家で、74の手技の教育内容と11の追加提案について同意を得るために招待された。第2ラウンドでは、専門家が85の技能の重要性を再評価し、能力維持の重要性を評価した(全く重要でない~非常に重要)。第3ラウンドでは、46の手技について、専門家が能力維持の程度(Observer、Novice、Competent、Proficient)を評価し、コンセンサスが得られた。

結果:心血管系、診断・計測、消化器、注射・点滴、眼科・耳鼻科、呼吸器、外科、外傷、ウィメンズ・ヘルス、泌尿器科の10カテゴリー46の手技において、80%以上の一致をコンセンサスと定義した。最も高いレベルでコンセンサスを確立した手技スキルは、心肺蘇生法、気道管理、無菌法と外科用スクラブ、ガウン、グロービングなどであった。また、医学生がすべての手技の能力維持を示すことの重要性は、6段階のリッカート尺度で評価され、平均5.03点であった。

結論:デルファイ調査の結果は、オーストラリアの医学教育カリキュラムの「臨床実習」領域における手技スキルに関する重要な情報を提供するものである。また、医学部や臨床医の専門家が参加することで、医学の専門性にとらわれない幅広い経験を把握することができた。これらの知見は、手技スキルの能力維持の重要性を示し、卒業前の医学生のスキルをモニタリングするためのさらなる調査の土台を提供するものである。