Gottlieb M, Chan TM, Zaver F, Ellaway R. Confidence-competence alignment and the role of self-confidence in medical education: A conceptual review. Med Educ. 2021 Jun 27. Epub ahead of print.
背景：医療専門職教育のなかでも、コンピテンシーベースの医学教育（CBME）が大きく進展している。このような取り組みの多くはコンピテンシーに焦点を当てているが、実践に向けた準備の要因としての、自信の役割についてはあまり注目されていない。本論文では、コンピテンシーに関する自信の役割と自信のキャリブレーションについて検討することで、この欠陥を解決しようとするものである。
方法：本論文は、さまざまな医学教育の文脈における自信と自信のキャリブレーションについて、概念的なレビュー (conceptual review)を行っている。最初の文献レビューを基に、著者は発散的 (divergent)および収束的 (convergent)な視点を探るために反復的な議論を行い、対象となる文献レビューで補足した。最後に、ステークホルダーへのコンサルテーションを実施し、暫定的な知見を検証した。
結果：医療従事者の自信の状態の違いに対する認識と対応を導くために、一連の原理 (axiom)が作成された。1) 自信は行動を形成することができ、現実と密接に対応しているときに最適化される。 2) 自信はタスクに固有のものであると同時に、個人の自己認識、周囲のシステム、社会に表裏一体の影響を受ける。 3) 自信は多くの外部要因と状況の文脈によって形成される。 4) 自信は能力と併せて考慮されなければならない。 5) 自信-能力比 (confidence-competence ratio; CCR)は時間とともに変化する。学習者のCCRを追跡し、バランスを保つように働きかけることが重要である。
結論：自信は様々な方法で表現され、様々な修飾語によって形成される。CBMEは主にコンピテンシーに焦点を当てているが、比例した自信は、安全でプロフェッショナルな実践を確保するために不可欠な要素である。そのため、自信とコンピテンシーの両方を考慮し、CBMEにおけるそれらの関係を考慮することが重要である。CCRは、心豊かで有能な医療従事者を育成するための重要な構成要素となりえる。今後の研究では、CCRを評価するための戦略を評価し、自信を教え、CCRの自己調整を導くためのベスト・プラクティスを特定し、個人やチームの継続的な専門能力開発におけるCCRの役割を探る必要がある。
